第20章 家族というもの
「で?欲しいものなんでもって言っちゃったのを撤回するわけにもいかず…そーんなほっそいチェーンだけチョーカーにつけて、こんなところまで来ちゃったんだ?」
『うるさい黙って』
「ううーん…僕にこんなに甘えながらそんなこと言われてもねぇ……って中原君目怖いって、目」
「あ?手前うちの飼い猫に懐かれてっからって調子のんじゃねーぞおい」
「さんっざんないいようだよね君!?人の家にお邪魔してる身の癖してさぁ!?僕蝶ちゃんだけでよかったんだからね!!?」
現在、トウェインさんの手によって甘やかされている真っ最中。
結局すぐに思いついた一番の我儘はこれだったから、口にした。
すると本当に許可がおりてしまったから、突然の事ながらトウェインさんのご自宅に伺ったのだ。
そして思わず飛びつきに行ってしまうとそれを受け止められ、よしよしと宥めるようにずっと甘やかしてくれている。
『中也さん一緒じゃないの嫌…っ』
「ああああうん、それ本人に向かってまたいっぱい言ってあげて!?出来れば僕が生きてるうちに!!」
『……トウェインさんに手出したら中也さん一ヶ月口きかないから』
「全力で我慢してやろうじゃねえか、まだ死なねえぞ俺は」
「君も大概……っ、ああもう蝶ちゃん泣かないで?ね?…ああいや、泣いてくれてもいいんだけどさ……そんなにトウェインさんのこと好きになっちゃった?」
驚愕の発言に、トウェインさんの用意したティーセットをガチャ、とテーブルに置く中也。
声すらまともに聞こえない。
『トウェインさんいい人…落ち着く。好き』
「うん、後でちゃんと中原君にも言ってあげてね?僕すごい怖いから今」
『?中也さんはね、蝶の大好きな飼い主さんだから』
「ちょっと中原君後でゆっくり話そうか、変な教育ばかりこの子にしてるみたいだけどさぁ」
「元々そいつの方から言い始めたんだよ馬鹿!!」
なでこなでこと撫で回され、ここまで中也以外の相手に甘えきることなんか無かったからか、新鮮な気持ちと共に満足感さえ生まれてきた。
そっか、何意地張ってたんだろ私。
こうしたかっただけなんだ。
しかし、じ、とトウェインさんの方を見つめ続けていると、突然彼の方からため息がこぼれる。
「…あのね蝶ちゃん?僕すごい嬉しいのは嬉しいんだけどさ…そんなに見られると調子乗っちゃうでしょ?」
