第20章 家族というもの
何言ってんのこの人本当に…って、黒髪って言った?今。
銀さんのこと知ってるの?
どういう関係??
『……とりあえず樋口さんはどうして銀さんを…?』
「銀さんって…銀……って、えぇ!?銀!!?」
かなりの間をあけてから、食い入るように銀さんに見入る樋口さん。
それに銀さんは恥ずかしそうに顔を赤らめている。
あ、そっか、まだこの姿で会ったこと無かったんだこの二人。
「私は芥川先輩の敵かとばかり…それで追ってたら蝶ちゃんが一緒にいるし、これはいよいよ危険な相手なんしゃないかって……」
まさかの私も被害者扱いだった。
『危険な相手って…銀さんは芥川さんの妹ですし仕方な……あれ?これ言っていいんだっけ』
ピシャリと固まる面々。
そして口を揃えて大きな声を出す。
「「「妹ぉ!!?」」」
それにコクリと銀さんは頷いて、潔く仕事服のクリーニングに行っていたことや、久しく二人で実家に帰ろうとしていたということを暴露した。
そして何も知らなかった花袋さんは、麗しの黒髪の撫子とやらである銀さん相手に、動揺した表情で問い詰める。
「あ、貴方はつまりポートマフィアの…黒蜥蜴の十人長…で……?いや、しかしそれならばどうして此奴と…?国木田から聞いた話では確か、一応探偵社に勤務していると…」
「?蝶ちゃんは元々ポートマフィアの幹部で…それも首領についでナンバーツーの権力を持ってる子だから…」
「は…?……ポートマフィアの幹部で、と…国木田?どうしてそのような者を抜け抜けと「花袋、白石をそう敵視するんじゃない。その態度を改めるまで俺はお前と口をきかんぞ」……しかし仕方がなかろう、此奴はどこからどう見ても零そのもので____」
花袋さんがそう言ってから、乾いた音が響き渡る。
そして音を立てて地面に落ちる眼鏡に…頬の赤くなった花袋さん。
『え…』
「な…、にを……?」
「……銀…っ?」
樋口さんが思わず口にした名の人物。
銀さんが、花袋さんに平手打ちをしていたのだ。
殺気のこもりそうな目で、武器を出すのを堪えながら。
『銀さん…?なんで、そんな…』
「……やっと分かった、今日ずっと蝶ちゃんが怖がってた理由。…ポートマフィアがどう思われようと何とも思わない、けど……蝶ちゃんにもう泣いて欲しくない」
「「「!!!」」」
「泣いて…と……は、どういう…」
