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第20章 家族というもの


結論から言うと、あのあと二人で繋がることは無かった。
今現在俺の隣ですよすよと無防備に眠りこけている蝶が証拠だ。

まあ途中で気絶してくれて助かった…というのも、本来今日はこいつを抱くつもりがそもそも無かったという所にある。

すぐに達してもらえれば気分も損なわせずに終わるかと思いきや、いつもと違って優しくしてやりきれなかったからかベッド外では拒否られ、挙句そのくせしたがってくるものだから、断ろうにも断れない。

好きな女にキスまで迫られて、誰が我慢できるか。
本当に頑張った俺。
いや、もっと言うと頑張ったのは蝶なのだが。

「…連日んなことしててぶっ倒れたらどうすんだお前…立てなくなんぞいつか?」

俺に好きなようにさせんじゃねえよ、いつか本当にそうしてしまうから。

まあ、はなから抱くつもりのなかった俺は、最後の最後…といっても蝶が四度目の絶頂を迎えようとした時に、ついつい甘やかして指を入れてやってしまったのだが。

本当に俺を煽るのも上手くなってきやがった。
この先持つか?
大丈夫か俺?

トウェインの野郎に夕方、とんでもなく妬いたというのは本当の話だ。
いうことを聞いてくれない本能を押さえつけるのにどれだけ苦労したことか…蝶を困らせまいと必死だっただけに、その反動もでかい。

そしてそれに加えて太宰によって植え付けられるイライラ。

織田がこいつの事を好いていただなんてこと、他の誰でもない俺がわからないはずがないだろう?
極めつけは蝶の部屋から見つかった手紙なのだから、時期も相まって俺にしてみりゃただの嫌な思い出だ。

おかげで今俺はこいつとよろしくやっていけてるわけなんだが。

____こんな気持ちで繋がりたくなんかなかった。
だから、抱くつもりなんか…繋がるつもりなんかなかったんだ。

お前だって嫌だろう?
寂しいからって、そんな気の紛らわせ方は……寂しい時は、寂しいって、ただ素直に泣きついてくれればいいものを。

他の誰でもない俺が、蝶を素直にさせられない。
俺という存在が…蝶に素直に涙を流させない。

なんて厄介な相手なことか。
俺の腕の中で泣いてほしいのに。
ちゃんと、今度こそ頼ってほしいのに。

嫌なんだよ、お前に泣いてもらえないのは。

またどこかに行っちまうんじゃねえかって……また、俺の知らねえところで一人で怖がってるんじゃねえかって。
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