第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
ただでさえ人が来ないような時間に来たというのに、教室にいたのはあの寺坂君だった。
「俺の事馬鹿にしてんのか!?」
『それは…どうだろ。まあそんな事いいじゃない、何してるの?』
「そんな事っ……まあいい。この傍迷惑なポンコツ野郎を抑え込んでんだよ、なんか文句あるか」
窓際に駆け寄って見てみれば、固定砲台がガムテープでグルグル巻きにされ、銃が出せないようになっていた。
成程、考えたわね寺坂君の割に。
今絶対失礼な事考えただろと睨まれたが、無視。
『ううん、いいと思うよ。生徒が怒ってここまでするんなら、烏間先生は勿論政府の方にもこの実態が伝わるだろうし』
そう言うと驚いたと言わんばかりに唖然とする寺坂君。
「お前なら反対するんじゃないかと思ったぜ」
『私が?…私は、自分が認めた相手にしか気を遣ったりしないわよ。機械だからとか関係ないし。私だってあんなつまらない“御遊び”の為に銃を使い続けたくはないしね』
本当に、つまらない。
この銃で殺すほどの敬意も払えないわ、こんな相手。
「お前ってこいつに結構冷てえよな」
『だって私、まだこの子と友達になっていないからさ?』
「友達って……ホント変わってるよ、お前」
『そう?ただのポンコツに対して冷たいだなんて表現使ってる寺坂君と、あんま変わんないと思うけど』
してやったりといった顔でにこりと笑えば、寺坂君はそっぽを向いてしまった。
「ろくな性格してねえな」
『えー?いい性格してるでしょう?』
「どこがだよ!」
冗談も皮肉も通じないなあ。
まあそこが彼のいいところでもあるんだろうけれど。
『うふふ…あ、私殺せんせーに用事あるから職員室行くね』
「知るか、勝手にしやがれ」
ガムテープで巻かれた固定砲台を一度見てから、職員室へと向かった。
『これだけあれば充分でしょうかねぇ…』
鞄の中に詰めてきた大量のケーブルとハードウェアを取り出して、職員室に入った。
『おはようございます殺せんせー、お土産持ってきましたよ!』
「白石さんですか、おはようございます!ニュ、何ですかこれは…!貴女こんなにたくさんどこで」
『今朝探偵社に寄った時、趣味で一時期作ってたものがあったのを思い出して、こっそり持ってきたんです。ただの“力添え”ですが、よければ使ってください』
「エスパーか何かですか貴女」
