第20章 家族というもの
お店を開けてからは大忙しで、私はホールに出る余裕もなく、ひたすら調理室で村松くんと調理を続けていた。
時折外からお客さんが帰るときに見知った顔や、私を見に来てくれた人がこちらに会釈をしてくれたり、手を振ってくれたり……
最初はいいのかと思っていたのだけれど、相手が笑顔だったのを見ると悪い気はしなかった。
中也とトウェインさんは、最初はゆっくりしていくつもりがあまりにも多すぎる人に困惑し、最終的にホールからの食器の撤去なんかを手伝ってくれる事に。
結局休む暇もなく動き続けて、山の食材を取りすぎることを懸念し、お店は途中で閉める事になった。
閉めてしまってから、中也とトウェインさんには殺せんせーの方からメニューを提供してくれ、夕方も近付いてきたところでようやく皆一息つく。
のだけれど。
「ちょっと、なんでこんな時間になってるんだよ国木田君!?もう閉まってるんじゃないのかい!?」
「違うんですよ!!分かるでしょう与謝野先生、原因は全てこの自殺マニアに…」
「国木田君なんて別にどうでもいいのだよ……それよりどうしてこんなところに組合の頭さんと森さんが?」
「どうしてとか聞くまでもないでしょ太宰君!?というか私以外にも来てるのだけど!ねえエリスちゃん?」
「組合の方だって、昨日来たんじゃなかったっけ?あとリンタロウ近すぎ、気持ちわ……!!!蝶!!!♪」
『ぅわッ!!?えっ、…え!!?エリスちゃん!!?』
聞こえてきた話し声に、凄まじいオーラの塊を放つ集団…その中から私めがけて一目散に飛びついてきたのは、可愛い可愛いエリスちゃん。
思わず腰を抜かしてエリスちゃんに抱きしめられていれば、来ている人の表情が分かるくらいには皆が近くにやってくる。
『え、エリスちゃんなんでここに…って首領……って、え!?社長まで!!?みんな揃ってお仕事は!!?』
「「「「「全部片付けて来た」」」」」
『全部…って…』
探偵社からは社長に春野さん、ナオミさんまで…組合からは昨日も来ていたためかフランシスさんとジョンさんが、そしてポートマフィアからは黒蜥蜴の三人頭に首領、エリスちゃん…
ここまでは平和的だったのだが。
「人虎、貴様隙あらば白石に「なにもしないってば!!お前こそ蝶ちゃんに何かするつもりじゃないだろうな!?」白石にそのような事……!!」
ここも来てたか。