第20章 家族というもの
『……も、うい「じゃあ離れていいのかよ」…………ダ、メ…』
「欲張りなこった…どうした?昨日の今日でまーた可愛らしくなっちまったなぁ?」
『ぁ…っ、…好き……♪』
くしゃくしゃ、と撫でられながら、登校しつつも夢のような心地だ。
なんだろう、まだフワフワしてて、変な気分。
中也がまたかっこよく見えて、一段とドキドキしてるのに。
「ははっ、素直…俺もだよ」
『!!…そ、そういうのずるい…と思い、ます……けど…』
髪に口付けられて、そこを手で覆う。
「でもやめられるの寂しいんだろ?いいじゃねえか、担任もだが周りだってあんだけ好き勝手言ってくれやがってたんだから」
『……中也ぁ…』
「ん?今俺は頗る気分が良いからなんでも聞いてやれる気がするぞ?」
『それいつもじゃないですか………教室着くまでおんぶ…』
「姫さんは横抱きよりそっちの方がいいのかよ?」
『…今はそっち嫌』
思いっきり抱きつきたいの、なんて口にすると本当にしゃがんでくれて、山になるのに本当にそのまま運んでくれ始める。
もう遠慮なんて知ったことか。
どうせお店開いたら一緒にいられなくなるんだし、今くらい…甘えてもいいよね。
「なんでもっと前からいいっつってんのにこうならなかったかなお前は?」
『…ちゅうしないのやだもん』
「相当嫌だったんだなそれ…?」
『……む…』
くい、と中也の顔を横に向けさせて、半強制的に唇を奪い取った。
一瞬ピクリと腕が反応したけれど、そのまま私に応えるように続けてくれた彼に満足して唇を離す。
「…お前もしかして主導権握りたくて?」
『ん…今日はしてもダメって顔しないんだ』
「そりゃあな。してえだけすればいいさ、ただししたらしただけ後でお前に俺から返すがな」
『………嫌いじゃない』
「好きって言わねえの?そこは」
『………………すき』
「「「えらいまた懐いてんな…」」」
少しすれば校舎の方に既に来ていた子達に驚かれる。
中也から下ろしてもらおうとすると……否、下ろしてもらおうとしたのだけれど、中也が手を離してはくれなかった。
「手前らか…仕込み班はやっぱりこの時間なんだな?折角もう少しくらい遊んでやれると思ったのによ」
『!!…そ、そういうのいい………です』
「「「昨日何したんすか中原さん…」」」
「懐かせただけだ」