第20章 家族というもの
『は、はい…どんぐりつけ麺……です、中也さ…ご主人様…?』
「「「「お前どこで覚えてきたそんなこと!!?」」」」
『えっ、違うの!?』
中也含める客席の全員から今度は突っ込まれた。
え、けど中也さっき確かにメイドって…自分で言ってきたのになんで!?
『じゃ、じゃああれ…え、と……あ!!本当だこれじゃなかった!!お、おかえりなさいませご主人様…ッ!!!』
「「「「誰だこいつにんなこと教え込んだ奴!!!?」」」」
『ち、違うの!?…こ、こういうことじゃ……?』
こっちは必死でやってるのに。
中也の前にお盆を置いて、顔色を窺う。
どういうことだ、確かにメイドさんってこうであってるはず…少なくともこの世界において、こういう喫茶店という類の店におけるメイドさんというものはこうだったはず。
「お前な、それだったら案を出してた段階で俺が阻止した意味が……ああ、いたなこのクラスに。そういやいたわ、こういう知識に特別詳しい奴…おい野郎共、文化祭終わったら絞めるぞ…竹林を」
「「「…了解っす」」」
『た、竹林君絞めるの?…じゃない、絞めちゃうんです、か?』
「蝶、そのメイドはしなくていいから…な。普通にウェイトレスやってくれりゃそれで満足だから俺」
『そ、うなの…?私てっきりポッキーゲームの代わりにつけ麺ゲームしてからお触りとかいうやつするのかなって…』
「「「竹林を探せぇええ!!!!」」」
竹林君はA組の偵察隊でしょうに。
しかし勇ましくなるE組の皆とは対照的に、中也の方はというと、本気で顔を赤くしている。
「…人前で無理矢理させるかよ俺がそんなこと……え、何お前ポッキーゲームとか知ってんのかよ、お触りとか知ってんのかよ」
『?ポッキーいっぱい食べてぎゅってするんじゃないの…?』
「ああ、そうだ。ポッキーいっぱい食べてぎゅってするのがポッキーゲームとお触りだ、死んでも俺以外相手とんなことすんなよ絶対に」
『中也としたい』
「よーしいい子だ、いい子だから今すぐその話はやめよう帰ったらいくらでもしてやるから」
本当!?と目を輝かせれば、中也は何故だか顔を手で抑えながら涙ぐむように私をよしよしと撫でた。
そう、ポッキーゲームやらお触りやらを含んだメイドさんごっこなど、実は簡単に家で出来てしまうものだったのだ。
家に帰れば、あれがあったのだから。