第19章 繋がり
「じゃあ辛いもんと薬味だな」
『けど唐辛子は大好き』
「喜べ蝶、俺も割とそこはいける口だ」
まあ私は舌で味を感じ取れるかも分からないのだけれど。
「……?…そうだ、蝶?お前……その味覚、自分の能力使って元に戻せねえのか?」
『!…あ、本当だ』
「出来るのかよ…って出来んのかんなこと!!?マジか!?すげえなお前!!!」
『そんな考え方したこと無かった…けど、多分能力使わなくても何かのショックをきっかけにしたらちゃんと信号が流れるように………中也さん私の頭殴ってみ「却下に決まってんだろんなもん!!」…じゃあちょっと頭打ちに外に…』
「行くなっての!!?」
首根っこを捕まえられて逃げるのをやめた。
能力使うのもいいけど、目視できないようなものをコントロールするにはそれなりに力も集中力もいる……言ってしまえば、気力が無い。
『じゃあ自分で頭叩い「阿呆になんぞ」…』
6歳の体には少々コントロールするにも疲れるものなんです、なんて訴えかけると、思い当たる節があったのか中也さんも大人しくなった。
「……けどショックって………もう少し平和的な解決方法はねえもんか?」
『砂糖粥作って完食す「それショックどころか死ぬやつだ、やめとけ」じゃあ中也さんが蝶に酷いことする』
「お前なぁ…平和的にっつって…………ちょっとこっち来い」
言うが早いか、手を取って連れてこられたのは、カウンターや座席などからは陰になっているような場所。
それこそ密会事なども想定内の設計にしてあるのだろう。
『な、何ですか…?殴ったりするならせめて心の準備を「違えっての」…ッ!?』
言った側から彼が実行したのは……世間でよくやる親のいる、所謂高い高いという遊び。
というかあやし。
『…あの……?』
「……ダメですか」
『い、いや分かんないですけど…こ、こういうのされた事ない…から、初めてで……その………』
「…徹底的に子供がされるみてえにされると怒りである意味ショック受けるかなと」
『…………ちょっと…だけ……その。……嬉し、かったような』
そうじゃないの。
慣れてないだけ、怒ったんじゃなくて、“普通に”してくれたことが嬉しかっただけ。
中也さんはまた大きく驚いて、私を地面にゆっくり降ろしてから目線を合わせる。
「お前…嫌、じゃなかったのか……?」
『…はい』