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第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ


中也さんがお風呂に入ってしまってから、昨日と違ってかなり待っていた。
その為か中也さん症候群の為かは分からないが、寝る前と寝起きは特に中也さん欲求が高まるため、中々に昼間とのギャップがある……らしい。

「帰ってきたって、俺ずっと家に居たじゃねえか…、蝶?」

『んー…』

意識はあるけど、体が自分の欲を満たすためだけに動いているような。
羞恥心というものが完全に消滅している今、私の頭の中には中也さんにくっつくという選択肢しか用意されていなかった。

「ち、蝶さん…この体制のまま抱き着かれてると、流石の俺でもキツいもんがあるんだが」

私の肩に手を置いた中也さんの首元に手を回し、こちらに抱き寄せる。
私は何も知らずにそうしてはいるが、恐らく彼はかなりしんどい中腰の姿勢を維持し続けなければならなかったのだろう。

『今日は離れないのー…』

「今日はって、お前なぁ」

意識が薄れかけててあまりすぐには反応出来なかったが、中也さんは私の体をひょいっと横抱きにした。
だから、首元に抱き着いている私とは必然的に顔が近くなる。

「お前が自分から離れた事があるか?」

呆れたような、満更でもないような声で言う彼。
表情は、少し困ったようだが笑っていた。

『離れない…』

中也さんの首元に擦り付けば、彼ははいはいと言って私を再びベッドへおろした。

腕を離さなかった私だったが、そんな私に対して中也さんといったら

「離してくれねえと一緒に寝れねえぞ…今日は好きな事聞くって約束だからな」

この一言。

それに気を良くした私は素直に手を離した。

「いい子だ」

掛け布団を私に掛けながらだが頭を撫でてくれる中也さんに、頬が緩んだ。

そして中也さんもベッドに入ると、今度は向こうから私を抱き寄せてくれた。
寝る時に彼の方から抱き寄せてもらったのなんて、再会して以来初めての事だった。

それが余計に私の機嫌を良くし、私の体を中也さんにくっつける。

『中也さんー…』

「ん、どうした」

『今日はごめんなさい……後…ありがと…………』

そこまで言って、言葉を発するだけの気力がなくなる。

「俺の方こそ。………あーあー、好きな事なんでも聞くって約束はお預けか」

意識の端っこで、中也さんが抱きしめる力を強めた気がした。

「………ありがとう」

それだけ聞いて、私は眠りについた。
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