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第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ


髪を乾かしてもらってから一緒にご飯を食べて、中也さんがお風呂に入っている内に明日のお弁当の下ごしらえをしておく。

今日結構血もらっちゃったし、回復はしているだろうけど、一応鉄分多めのメニューにしよう。

後は明日の朝に焼いたり温めたりすればいいだけの状態にして、家具を揃えるまではまだ使えない自分の部屋に行った。

結局休みの日じゃないと家具を買いに行けないという事で、もうそれまで一緒に寝ればいいじゃないかと提案してみたところ、なんとかその提案が通ったのだ。

そしてこの部屋は、中也さんが綺麗な状態のまま何も動かさずにしてくれていたらしく、四年前と何も変わっていない。

『……!あった』

今日イリーナ先生や女の子達に色々いじられていて、ふと思い返したのだ。
四年前まで、毎日飽きずに使っていたヘアゴムがあった事に。

そのヘアゴムというのも、当時のポートマフィアの研究員の間で開発された繊維を組んだもので、飾りも何もついていない代わりに強度は確かなものだった。

私のように髪が長いと、その重みで結び目が下がってきたりするのだけれど、そこもカバーしてくれる。

切れない上にズレないという、なんとも戦闘向けなヘアゴムが二つ、小さな木箱の中に仕舞われている。

ついこの間も戦闘中にゴムが切れてしまったのを思い出して、これがあったじゃないかと少し心が弾んだ。

『…明日からこれ使お』

浮き足立ってるんるんしていた。

このヘアゴムがあれば、また髪型のバリエーションが増えるしね。


この時の私は、中也さんがこの様子を覗き込んでいただなんて思いもしなかった。


「や、やっぱそうくるか……おおお頑張れ俺ぇっ、大丈夫だ、俺ならいけるっ」


声に出すほど中也さんが悩んでいた事なんて気付かずに、ヘアゴムを置いて中也さんの部屋に入り、ベッドの上に乗って枕を抱きしめる。

『うふふ、どんなのにしよっかな〜……あ、そういえば中也さんってどんな髪型が好きなんだろ』

「ぐっ、!!」

『ん?』

外で中也さんの変な声が聞こえたような気がしたが、気のせいだと思う事にして、明日の髪型を考える事にした。



そしてそのまま、うとうとと眠気が襲ってきた頃。

「おい、そのまま寝たら俺が寝れなくなるだろ」

肩を揺すられ、中也さんの声が聞こえた。

『あ、中也さん帰ってきたぁ…』


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