第19章 繋がり
「蝶ちゃんもしかしてイタリア出身??」
『そ、そそそそう!そんなところです!!』
ある意味間違いではない。
別の世界のイタリアという名の国から移動してきたわけだし。
「それでよく日本に…」
『ほ、ほら、私異能力ありますから…ワープ系の!何ヶ所か転々としてるうちにですね…?』
「成程ねぇ…大変だったでしょ一人で?よく生きていたわ、こんなご時世」
生きることすら放棄していたような生活だったけれど。
なんて言えるはずもなく、慣れた笑顔を浮かべて、私もこんな良い喫茶店に出会えて嬉しいですよ、とだけ口にした。
本心といえば本心だ。
「…おばさん、俺にもストレートティー一つ頼んでもいいか?」
「え?中也君いつも大体珈琲かフルーツ系のドリンクなのに?」
「たまには飲んでみようかと…蝶が好きらしくて、たまたま飲んでみたら美味かった」
『!私そんな事言いましたっけ…?』
「織田に会った時に聞いた。んで、その場で飲まされた」
いつの間に作之助と二人で……私の知らない時に。
嫌じゃないけど…なんかやだ。
『…中也さん、蝶のこと放っておいて織田作さんと密会ですか』
「あ?密会って…普通に会って少し話したくらいだが」
『蝶の知らないところで他の誰かと盛り上がってたんですか。私ほっぽってティータイムですか、へえ…愛人ですか』
「ゲホッ!!?ゲホッ…!!!お、…ッまえ、んな言葉っから覚えてきやがった!!?」
『二股相手兼愛人への密会…あんな奴放っておいて今度私とデートしようよ、二人で♡って太宰さんに言われました』
「あいつまじで明日死なす…!!」
そんなデート一生させてたまるもんか、と中也さんは私の方を向いて言う。
「いいか?織田は男だ、俺も男だ…いいな?分かるか?二股でもなんでもな『一人目は太宰さんじゃないの…?』……お前…、俺があいつを好いてるように一度でも見えた事があるか!!?」
『でも二人共仲良しじゃないですか、私のこと放っておいて二人だけずーっと話し続けるの』
「ありゃただの悪口の言い合いだ、コミュニケーションの手本にすんな」
『けど中也さん、女の人に興味無いんでしょう?』
「男になんかもっとねえよ!!!!」
よく分からない、つまりどういうこと?
『……あ、そっか。太宰さんと織田作が中也さんの事大好き』
「ねえよ!!!」