第19章 繋がり
「……今度はお前か…俺はお前の親族にまでなったつもりはねえぞ」
「馬鹿にすんな、何だよ親族って…」
「俺は白石に兄になってくれと言われた人間だからな、父親がめそめそしてると複雑な心境にもなるだろ」
「……は?…兄って、てめ……はあ!?蝶の奴が一番懐いてる相手なんか間違いなく手前なのに!?てっきりあいつは子供時代特有の、でかくなったら父親と結婚する的なノリで手前の事を見てんのかと」
「ストップ、落ち着け中原。それは未来永劫無い、あいつがおれをそういう目で見ることは有り得ない、落ち着けお父さん」
「誰が手前のお父さんだよ!!!」
織田作之助…ポートマフィアの最下級構成員。
その男が自宅へと帰る頃、扉の前にあった人影を無視するわけにもいかず、まず第一に溜め息を吐いた。
「それもそうか…んで、どうしたんだ中原パパよ。ダサい顔して」
目元を赤くさせているあたり、泣いた…と言うよりは、それで強く目を擦ったのだろう。
「気持ち悪い言い方すんなっつの……手前、知ってっか…蝶が、ポートマフィアに入った」
「!……あいつが?」
ポートマフィアに入った……驚愕の事実に、織田は動揺して目を見開かせる。
「なんで、あんな奴が…人殺しはしたくないとあれほど……」
「…手前、何か知ってんだろ……昨日、あいつと色々話してたよな、懐き具合からしてもわかる。…何か、言ってなかったか」
「……俺が聞いた話では…寧ろあいつは、防衛目的や平和の均衡を保つ目的以外で、血は流させたくないような考えなはずだ。今なんかでは刃物を持って人に振りかざすことなど到底できないだろうと口にしていた程だぞ」
「だよ、な…ここ数日で研究所から盗んできたあいつの実験データ……全部、見た。内容は…とても思い出したくねえようなもんばかりで「ちょっとまて」…」
一向に目を合わせようともしない青年に静止をかける程には、動揺を隠せなかった。
昨日自分が聞いた話でも、実験内容は触りだけ聞かされたもので…それだけでも酷いものだったのに、今こいつはなんと言った?
織田の頭の中にはそれしかない。
「すべて…見た、のか?」
自分の腕の中で、酷く怯えながら、自分の身体に無いものなんかを教えてくれたあの少女のことを。
「流石に何年分にも渡ると量が多くてな…全部見たさ。軽くトラウマもんだ」