第19章 繋がり
お昼にしようとしていたはずだから、恐らくまだ食堂にいるはずだ。
さっき力量を測りたいと言われたばかりだし、はやく中也さんにも話さなきゃ。
この人の元で動けるのなら、別にいい。
この人のために働けるのなら、全然いい。
「!戻ったか…、何事も無かったか?何かあの人から変な事でも言われ「すまん、中也君…」…森さん?」
「…森さん、何があったんです?」
「……止められなかった…本当に…すまない…」
中也さんと太宰さんが目を見開いて、すぐさま中也さんは私の前で膝をつき、両肩を強く掴んで私と目を合わせる。
「お前…何を……?蝶、何を飲まされた?ろくな事じゃねえのは分かってる、何を…ッ」
『…いい事ですよ、とても。私もこれからここで働く事になったんです、それも中也さんの元で…これでお仕事中にも一緒にい……ッ、…ん…った…中也さ……っ、?』
ギリ、と肩に力が入れられる。
この人、こんなに力強いんだ…首領が有望株なんて言ってたのもわかる気がする。
「……マフィアだぞ?お前…なら、分かるんだろ?どんな仕事か…分かってるんだろ…?良いのかよ、また…」
__零に戻る事になっても
『…中也さんのお仕事、手伝えるなら…それでもいいかなって……ッぁ…っ』
「巫山戯んな…っ!!」
「中也!?君、女の子にそんな乱暴に掴みかかっちゃ…!」
「!!悪い……クソ、っ………少し頭冷やしてくる…糞太宰、こいつ頼むわ……俺は絶対に認めねえからな」
吐き捨てるようにそう言ってから、中也さんは離した手で立ち上がりながら私の頭に少し触れ、そのままどこかに言ってしまう。
反射的に追おうと体が動いてしまうも、初めて彼が怒りを顕にしたのをこの目で見て、そんな勇気も出てこなかった。
……いや、これでいい。
仕事をするなら…多分、距離だって近すぎない方がいい。
零だなんて名前、今更呼ばれたって構うものか。
あの人のために働けるなら、そんなもの気になんかしない…してやらない。
「…蝶、ちゃん?…中也の話じゃ、君……零って呼び名は…研究所に捕まっていた頃の、蔑称だと」
『!!…なんで、中也さんがそんなこと知って……!?』
「あいつは元々、恐らく君の事についてはできる限り調べ尽くしてから東京へ出向いていたはずだ…それと同じで、零についても」
研究データの何かを、見られてた…?