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第19章 繋がり


あちら側に私を利用してやろうという腹積もりがある限り、あの手この手で私の逃げ道を塞いでくるだろう。
六歳でこれだけ動ける…逆に言えば、もっとその先を期待できると相手は考えているのだから。

この人の思うようになってしまうのは癪だけれど…中也さんの為になれるのであれば。

『…中原中也の、直属の部下に配属していただけるのであれば…貴方に仕えることにします』

「君にはもう少し権力を持たせてもよいと思ったのだが…確かに中原中也は有望株ではあるが、そんなにそこがいいのか?」

『それがダメなら最下級構成員を希望します』

「……いいだろう、中原の部下に…なんなら、“組ませる”のもありだ」

『…それでいいんですよね。あの人に、何もしないでいてくださるんですよね』

中也さんを痛めつける、なんて言われたその瞬間。
すぐにでも目の前の人間の息の根を止めてやろうかと思った。

しかし、それでは“組織への”忠誠の高い中也さんのためであるとはとても言えない…この、数日見た限りでも規模がとても小さいとは言えないポートマフィアを、まとめられるとも思わない。

彼の今の当たり前を、私が壊していい理由にはならない。

「約束しよう…君は頭が良い。だから言わなくてもわかるだろうとは思うが……この組織を裏切るようなことがあれば、君が逃げ切ったところで血は流れる」

『…裏切りませんよ、“上司の”命令は』

「……話は以上だ、詳しくはまた仕事が用意できた時に。それまでは、君がどの程度の人間なのかが知りたい…その上司とやらに見てもらえ」

向こうが話をする態度をやめると共にこちらも一礼だけして後ろを向いた。
無理矢理森さんの白衣を後ろから引っ張って退室させ、扉を閉めてからすぐ、森さんが私に口を開く。

「…すまなかった……巻き込むつもりは無かったのに…逃げたくなったら、逃げてくれてもよかったんだよ…?中也君も君も確かにまだ子供だけれど…そんなところ、僕がいくらでもなんとかしてあげられる」

『森さんが謝らないでください。それに中也さんを連れて逃げたところで同じです、あの人は構成員のことを駒としてしか見ていない…その気になれば、太宰さんや織田作や、関係ない人は勿論……森さんの事も人質にとってきますって』

「!!…それですぐに決めてしまったのかい!?」

『…お仕事中にも中也さんといれるからですよ』
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