第19章 繋がり
お邪魔するのは、見たことのあるような扉の先にある部屋。
私の事を知らせたつもりは無いのに、何故か相手は私の事を…それも襲撃の際に手を貸したことを知っていた。
そうか、これなら納得だ。
「首領、例の子を連れて参りました。失礼します」
中に入って、私が見たのは……予想通り、医療用の寝台に横になっているご老体。
そういう事……この人が、このポートマフィアの首領だったんだ。
「君が…白石、蝶……まずは礼を言おう、お陰様で助かった上、生け捕りにしてくれたおかげで大元も吐かせることが出来た。よく出来た子だねえ、君は」
『…お褒めに預かり光栄です……あなた様の身に何もお怪我がなく、良かったと私も思います』
首領さんの傍には黒服の方が六人体制でついており、警備は厳重であるらしい。
扉にセンサーまで付いてる。
「驚いただろうが、こんな身体で…一応この組織のトップをやっている。……そこで、なのだが…君の戦闘センスを見込んで、是非ポートマフィアに入っていただきたい」
「!?なっ、…首領、それはなしでと言う話で私は彼女を連れてき「森先生、あなたも命は惜しいでしょう?」…しかし…!」
彼女は六歳の少女です、血に手を汚させるだなんて正気ですか!!
森さんは私を庇うようにそう言った。
しかし、相手は森さんに向かって銃を向ける覚悟などとうに出来たような様子である。
しかし、まあ私も、別にこの人に忠誠を誓う義理はないわけで。
『私が…ここから逃げられるくらいには力を持っていると、思いませんでした?』
「ああ、君一人なら出来るだろう……しかしそこに、君を連れ出してきた中原中也が絡むと、どうなるだろうな?」
『!…もし断ったら…?』
「手始めに彼を…殺さずとも、ただ痛めつけて飼い殺すことも出来るだろう。君が彼を連れてどこかへ逃げたところで…」
子供二人がそう簡単に生き延びられるほど、この世界は甘くない。
確かにそう、中也さんだって、今自分でこの組織で生計を立てているわけなのは確か。
それに、逃げたところでこの異能力者という存在が蔓延る世界では…味方はいないよりもいた方がいいだなんて分かっている。
『……あの人はそんなに弱い人じゃないと思いますが』
「だが、組織への忠誠は人よりも高い」
あくまでも入らせるつもり…それなら私は、あの人に忠誠を誓ってやろう。