第19章 繋がり
あれからというもの。
「やあ蝶ちゃんおはよう!今日も中也なんかと違って可愛らしい…お昼一緒に食べないかい?」
『お、お昼は中也さんいるけど…』
「あんな奴放っておいて二人で食べよう、プリンもあげる♪」
『プリン…!』
「卑怯だぞ手前!?蝶も蝶で釣られんな!!」
やけに太宰さんが私に甘い。
『え…プリン……』
「あーあ、そんなこと言っちゃうんだ中也?蝶ちゃんあんなに嬉しそうだったのにかーわいそ〜」
「はっ、なんで俺が悪いみ…たいに…………悪かったって蝶…?あ、あの…ああああもう、分かったよ!!ただし俺の監督付きな!!!」
『!!プリン!』
「プリンしか見えてないねこの子は…」
昨日の帰りからずっとこんな調子だ。
なんというか……そう、やけにベタ褒めしてくるようになった。
口を開けば蝶ちゃん、蝶ちゃんって。
どうしたのこの人。
「あ、いたいた蝶ちゃん!」
そして出てきた二人目の蝶ちゃんスピーカー…森さん。
そういえばなんか似てるような気もするな、この二人。
『森さん…こんにちは……?』
「!うん、こんにちは!!今日もなんて可愛らし……じゃなかった」
序盤の流れも太宰さんと同じだ、面白いくらいに。
「…このポートマフィアの…首領から、蝶ちゃんを呼んでくれないかって。あの人に知らせたはずはなかったのだけれど、どうしてかむこうが蝶ちゃんの事を知っていてね…?」
『首領…?……なんで、私を?』
「いやあ、まずはあの襲撃の件でのお礼を言いたいそうで……そこはいいんだけどさ、蝶ちゃん。今の首領…なかなかに過激なところがあるから、もしかしたら変なこと言われるかもしれないんだけど」
『……行きます、中也さんの組織の首領さんですから』
躊躇わずにそう言うと、太宰さんも中也さんも目を丸くさせた。
「…あの人、まさかこの子に入らせるつもりじゃ…」
「今の状態ならやりかねねえぞ…?……蝶、お前…無茶なことだけしないでくれよ…!?」
『え?…うん』
「…………中原君の言ったこと絶対守ってね蝶ちゃん。ちゃんと自分の意見は言うように…僕が連れてくるように言われているから、一緒に行こう」
手を引かれそうになったけれど、森さんとはそういう関係でいちゃダメな気がした。
今からは、少しの間、一人の人間同士でいなくちゃいけない気が。
『…歩けます』