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第19章 繋がり


扉を開けて移動したのは海岸沿い。
ここならある程度拠点からも離れているし、何より一人でいて落ち着ける。

少し潮風が肌寒いような気もするけれど、それでもそれ位の環境の方がいいと思った。

……悔しかった、一瞬でも期待してしまった自分が。
このまま今死ねたら、なんて私は楽になれるんだろうって。

現実に直面した。
ああそうだ、この関係だって、もういつ終わってしまうか分からない…あの人が私より先にいなくなってしまうのは必然なのだから。

そして同時に、考えてしまった。
おぞましい考え…悪魔のような考えを。

あの人が…中也さんが、私と同じなら良かったのに。
そしたら、本当にずっと一緒にいられるのに……もう、寂しくなんてないのに。

いっその事この世界からも逃げ出してしまおうか、そうすればすぐに忘れられるだろうか。

『…無理……だよ…』

あのあたたかさを知ってしまったから…思い出してしまったから。
私が作る世界を繋ぐ扉は、どことどこを繋げているのかは分からなくて、行ける場所を自由に選択できるほど扱いやすいものではない。

いっその事死んでしまえたら、元の世界には確実に帰れるはずなのに…私にはそれさえ許されない。

自殺なんてしたいわけないじゃない、何回それで死ねなかったと思ってるの…それで何回死んできたと思ってるの。
痛いのも苦しいのも大嫌いで、この世界に来てからそんな勇気だって持てなくなって、大好きな人まで出来てしまって。

簡単に言わないでよ、気に食わないなんて。
私の一番触れられたくないところに触れないで…私だって、なりたくてこんな身体になったわけじゃない。

ここに来たくて、こんな世界に来たわけじゃない。

……もし今死んだら、今度こそ死ねる?
覚悟決めてもし成功して、この器から魂が解放されれば…今度こそ、私、帰れる?

『………__さん…、帰りたいよ…ッ』

いつも考える、私は利用されただけなのに、操られてただけの被害者なはずなのに。
なんで私がこんな目に?
なんで私だけが?

帰りたいよ…死にたいよ…

スウ、と腕に壁を纏わせて、それを変形させて鋭くさせる。

死ねる?帰れる?
あと何回死んだら帰れる?
あとどれだけ、さよならしたら私は死ねる?

なんなら、この場で今度こそ、死ぬまで殺し続けてやろうか。

腕を振りかぶった時だった。

「白石…ッ」
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