第19章 繋がり
子供の人身売買に携わっていた組織は、中也さんの異能力一つですぐに壊滅してしまった。
そこから少しわかったのが、中也さんの所属するポートマフィアも、私の所属していたマフィアのような自警団じみた面を持ち合わせているということ。
どうにも、この横浜の街のためになるよう裏で動いているように窺える。
それも夜…異能力者がどうしてか比較的集まりやすいということで有名らしい、この横浜が特に無法地帯と化してしまう時間帯に。
むしろ、海外国内問わず無法者たちが溢れる世界を静まらせるために活躍しているような…
「お疲れ様〜蝶ちゃん♡どこか怪我しなかったかい?なんなら一緒にこれから心中でもどうかな?♪」
「んな!?どっから湧いてきやがった青鯖手前!!?」
『わっ、太宰さ…心中……?私と…?』
「いいか蝶、まだ言ってなかったがこいつは頭のネジが消滅して『…よ』……蝶…?」
『私の事殺せるなら…してあげてもいいよ、心中』
ニコリと、自然と笑顔になった。
しかしそんな私とは対照的に、太宰さんも中也さんも目を見開かせて静かになる。
「…君は、何にそんなに怯えているのだい?私はこの通り自殺愛好者ではあるが、君のような子は初めて見たよ…気に食わないな。君は自殺をしたいわけでもないのに、どうしてそんなに自然とイエスの言葉が出てくるんだい」
『…自分から誘っておいて、乗ったらそれですか……勝手な人。……自殺なんかしたくないに決まってるじゃないですか…私は誰かに殺される方がよっぽどいい』
目を鋭くさせ、太宰さんを下から少し睨みつけるように見てから扉を作った。
「!これは…」
「!?蝶!?お前いったいどこに行くつも『放っておいて中也さん、朝までには戻ります』なっ…こんな時間にお前、“その姿”で一人じゃ…!!」
『……心配してくれるんだ…中也さんはお人好しだね』
心の奥底で、そのお人好しに向かってごめんなさいと叫び続けた。
死にたいと、本能的にそう思ってしまった。
殺してほしいと口にした…そして思ってしまった。
出来るのであれば、貴方のような人に殺してほしい…貴方に私を、殺してほしい。
流石の中也さんも異能を使って来たのだけれど、それを能力で一瞬取り上げてから、作った扉に入っていく。
今回の行き先は……特に決めてない。
どうせなら、一人で落ち着ける場所が一番いい。
