第19章 繋がり

「………え、そ…そんな事で…いいんすか蝶さん」

『なんで敬語になるんですか…』

「なってねえよ…っす」

『……ごめ「謝んな謝んな、俺が悪かった！！！」…？』

もう一度中也さんの方に目を向けると、一瞬目が合ってから少し逸らされ、それから覚悟を決めたようにぎゅ、と一度目を閉じてからまた合わせられる。

「…お前もうちょっと欲ねえの？そんなんで本当にいいのか？まあ蝶のわがままは年中無休で受け付けるつもりではあるが……そんなにいいもんか？」

『！！……〜〜〜っ…！』

ぽふ、と頭に手を乗せられてから、ゆっくりと大きく撫でられる。
少し見えた照れてる彼の目に見られていて、大好きな中也さんの手に撫でられて、安心する……はずだったのに。

なんだか無性に恥ずかしい。
また、胸の奥がドキドキして、心臓がバクバクしてる。

「…蝶？……おーい、蝶？大丈夫かお前…？」

『！？…は、…い……ｯ』

「なんだよ、また恥ずかしがってんのか？可愛い奴め…そこら辺の生意気な餓鬼よかよっぽど可愛げあるな、お前」

『へ…ｯ！？…ぁ…ぅ…っ！！？』

そしてまた、頭がショートしてしまったように煙を立てて限界に達した。
耐えられなかった…そんな言い方されて。

慣れてないのに、それに私にそんな事言う人いなかったのに。
なんなのこの人、出会ってからずっと私の頭とか胸とかおかしくしてばっかりで、気付いたらいつの間にか頭から離れなくなってて…なんだかずっと触れていて欲しくて、ずっと私を見ててほしくて。

なんで、この人相手になるとこんなにわがままになるの？
なんでこんなに嬉しいはずなのに、それを通り越して恥ずかしいの？

なんで…こんなにこの人に私は心を許しちゃうの……？

触れられる度に、優しくされる度に…付けてもらった名前を呼ばれる度に、どんどん大好きが溢れていく。
変な感じ…なんなの、これ。

「？…おー、茹で蛸みてぇになってんぞ？｣

『………蛸でいいです…』

「何言ってんだよ、戻ってこい蝶。んな顔してっと、いじられんぞ？俺に」

ﾌﾆ､と頬に片手を当てられて、必要以上にそれに驚いて肩をはね上げる。

『！！！？…ｯ？…？？』

「…いや、こっちがビビった……驚かせて悪かったな…っ！？」

離れようとした中也さんの腕に、今はまだ小さな腕を絡めて抱き着いた。
もうちょっと…もう少しだけ。