第19章 繋がり
中也さんが作ってくれたカップケーキ数人前を、軽くぺろりと平らげると、中也さんは動揺したようにまた私を見る。
「お前…結構食うんだな……?」
『?…デザート好き』
「いや、何個食ったよ!?十六、七個は作ってたぞ!?」
『別腹』
「なんで普通のもん食えねえのにそっちは…まあ食えるもんがあるだけ良かったが。………にしても、まさかそこまで気に入ってもらえるとはな…意外と子供らしいところあるじゃねえか」
それを聞いてピタリとそちらを見る。
子供らしい…私が……?
『…それ、褒めてます?』
「褒めてるよ、なんつうかお前…傍から見たら大人っぽいし、中身が大人なだけあって行動とかも子供らしくはねえんだよな。それも、少し無理してるような感じで」
今くらい気楽に接してくれても全然いいんだぞ?元々こっちの方が年下なところもあるんだから
この人はつくづく、私の事になると細かいところまで気にかけてくれるらしい。
大人っぽいとか、子供らしいとかはよく分からないけれど…多分私は、傍から見ても全然“可愛げのない”子なはずなのに。
人前で素直になるどころか自分をさらけ出せるような機会なんてもういくつ世界を超えても遭遇することなんてなくて、自分の出し方も、自分が何なのかさえも分からないような人間なのに。
「ま、織田の分析力に助けられてる面もあるがな…あいつ、孤児の面倒見てるからか人の事よく見てんだよ。元々俺もアドバイスもらったから……まあこの話はいいか。蝶、お前何か…されて嬉しい事とか、してほしい事とかないか?」
どんな小さな事でも、どんな無茶な事でも構わない。
どんな勝手やわがままでもいいからと、彼は言う。
お願いしたら、きっと彼は本当に何にだって答えてくれる…誕生日の特権、ということでいいのだろうか。
本当に、そんな事をお願いしてもいいのだろうか。
『……中也、さんは…お願い…きいて、くれるの……?…嫌に、ならない?』
「?ならねえよ、お前はそんなお願い出来っこねえだろうと思うし……ほら、なんでも言ってみろって。甘えとかねえと損だぞ、俺が誰かを甘やかすとかお前以外にありえねえだろうし」
『…あ…のねっ?……え、と…頭…なでなでされるの好き…なの、と……』
腕枕して、ぎゅうってしてから一緒に寝たい
伝えた後にチラリと見ると、中也さんは顔を真っ赤にさせていた。
