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第19章 繋がり


「いや…まさかこれ程までに効果があるとは。押し切って作り方教えてもらって正解だったか」

中也さんが食器を持ってきてくれて、そこにケーキを乗せて準備完了だ。
カップケーキだけれど。

目を輝かせて、可愛らしい見た目の美味しそうなカップケーキを見つめる。

甘いお菓子なんていつぶりだろう、こんなの、ずっと食べてこなかったから何年食べてないかも分からないや。

最初の世界で私を造ったあの人の影響で、大好きになった甘いお菓子。
ホイップクリームとスプレーチョコをかけてもらって、フォークに小さく取ってみる。

『……ほ、んとに食べて「いいって。お前以外に食わせる気は端からねえよ」…で、でもなんで私のためにケーキ…?』

「なんでって、そりゃ今日お前誕生…日…だろ」

『!…それでわざわざ…?中也さんが手作りで…?』

「そうだよ、悪いか!つかずっと見てるだけなら俺が食うぞ!?」

照れたのか突然そんなことを言い始める中也さんに呆然としながら、一口ケーキを口に運んでみた。
フワフワしてて、甘くて柔らかい。

久しぶりに形のあるものを食べて、それが大好きな甘い物で…更に言うと中也さんの手作りで。
こんなに幸せなことがあっただろうか。

ずっと、誰と関わるにしても線引きをしてきたのに。
私に付け入ろうとする人なんて、だいたいが自分のために私を使おうとしか考えてないような人達ばかりだったのに。

「不味かったら吐いてでも全部腹から出……!?蝶!?そんなに不味かったか!!?」

『え…?なんで…「なんではこっちの台詞だ、なんでまたそんな泣くんだよ!?」…あ……美味し、い…から……優、しくするから…っ』

「美味ぇのか!?不味いわけじゃねえんだな!?…ああああ、目擦るな目!後で腫れるし痛くなっ、うおっ!!?」

鳩尾に変にうまく入ってしまったのだろうか。
タックルするくらいの勢いで椅子から中也さんに向かって飛び付いたら、中也さんはそのまま勢いで転けてしまった。

「お前、こんな…っ?…俺も一応男なんすけど…?」

『中也さん…は、中也さん…だもん……っ』

「…なんだよそれ…お前、俺は怖くなくなったのか?」

『……ん…、…大好き…』

「口説いてんのはどっちだって………まあ、とりあえず…」

誕生日おめでとう、蝶
生まれてきてくれて、ありがとう

こんなに素敵な誕生日、初めてだ。
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