第19章 繋がり
目が覚めると、目の前は真っ暗で何も見えなかった。
感触からして、布を巻かれているから目隠しでもされているのだろう。
それだけじゃない、ご丁寧に手足まで自由にさせないようテープで固定して、ちゃんとした手口の猿轡まで。
子供相手にそこまでするのを考えると、かなり焦っているのかしら。
抜け出そうと思えば簡単に抜け出せるはずだったのだけれど…この状況は拙い。
さっきから嫌な想像が頭から離れてくれないし、相手の目的も分からないし、何より能力を扱うのに集中出来そうにない。
拘束具がせめて縄なら自力で脱出出来たかもしれないのに。
『…ッ、…』
「?…ああ、目ぇ覚めたか。暫く辛抱しててくれよ、こちとら自分らの命かかってるもんでな」
苦しいっての、猿轡までしなくたっていいじゃない。
それに普通つけるなら意識が戻ってからでしょ、よく生きてたわね私。
「待ってろよ、取引相手が来たらてめえを引き取ってもら…?おい、何してる?」
『!…ッ、ぅ……』
少しずつテープを緩めようと動こうとすると、流石に気付かれたのか、頭を平手で思いっきり叩かれた。
そのまま勢いに負けて地面に倒れ込む。
痛いのに、悲鳴すら上げれやしない。
こういう一方的な暴力が、私は一番苦手なのに。
どうしよう、どうしたらいい?
「おい、商品にあんま傷付けんなよ?さっきそれで“ダメ”にしちまったばかりだろうが」
「だから平手で済ませてんだろ?」
「子供相手に容赦ねえな…」
「ごめんね?痛かっ……おーおー、怯えちゃってるじゃん」
頬に指で触れられて、それに過敏に反応して思いっきり肩をビクつかせた。
すると相手も一瞬ビクリとさせて指を離したのだけれど、それからよしよし、と何故か叩かれた所を撫でられる。
『…っ……?』
「ほら、お前はやりすぎなんだってば。優しくしてやったら可愛らしいもんさ、女の子なんて…ねえ?」
「てめえ、さっきダメにした張本人が何偉そうにしてやがんだよ…幼女趣味も大概にしておけ、血は出すなよ?服が汚れちゃ怪しまれる」
言われた意味が分からなくても、今私に触れている手の持ち主が危険であるということだけは察知した。
暴力は多分、されないけれど…それでも、何かが危ない。
そんな気がする。
『ん…ッ』
「逃げちゃうの?ダメだよそんな事したら…いじめてあげたくなるじゃんか」
