第19章 繋がり
「悪かったって…だからその……な?いや、くっついてくんのは別に構わねえんだがその…」
『………他の人嫌。中也さんとこいる』
「ここまで堂々と引っ付いてっと歩きにくくねえのかお前…?」
『…離れるのやだ』
結局あれから部屋を分けて着替えさせられ、優しい中也さんに戻った彼にすぐに私は飛びついた。
腰元に腕を回すとやはり彼は優しくなっていて、元の暖かい中也さんに戻っていて、安心した。
嫌な記憶から…知らない人達という恐ろしい存在から逃れるように中也さんに触れて、さっきの中也さんの目を自分の中からかき消すように我儘を言う。
「お前、服の趣味とか本当にいいのかよ?店だって色々あるんだぞ?」
『中也さんに選んでもらうのがいい…』
「…俺が選んだらその年相応の可愛らしさ見てえなもんがなくなっちまうかもしれねえぞ?」
『いらない。中也さんと同じのがいいの』
「いいのやら悪いのやら…」
シャツに、ショートパンツにプリーツのギャザースカート、黒いタイツに中也さんのとよく似たデザインのタイ。
中也さんはクロスタイも持っているらしいので、それを一ついただくのともう一つ…ネクタイデザインの細めのタイ。
それから少し大きめの上着に、ちゃんと私サイズのベスト。
『…中也さんみたい……っ』
「なんで俺みてえな格好でそんな目輝かせられんだお前?」
『中也さんのセンス好き…、中也さんも好き。だから大好き』
「……じゃ、もう少しらくで子供らしい格好も選んでやるよ。それなら着てくれんだろ?」
的確な指摘に目を丸くした。
『い、や……そんなにいらな「いいじゃねえか、この際だし着てみてくれよ。その方が俺も楽しみが増える」…ずるい、ですその言い方…』
相手の方が断然上手だった。
いいようにあしらわれてるような気さえする。
「流石に森さんチョイスレベルまではいらねえと思うけど、絶対ぇ似合うと思うんだよ可愛らしい格好も…正装ばっかりじゃあ勿体ねえ」
『……それ…選びすぎじゃ…?』
「んなわけあるか、全部買『数着にしてくださらなきゃ嫌です、着ません』…仕方ねえな」
渋々といったように中也さんは枚数を減らして、私に合わせてきた。
絞ったはずなのにかなりの枚数があって時間は少しかかったけれど、まあ買い物というのも悪くは無いらしい。
何よりも中也さんが生き生きしてるから。
