第19章 繋がり
『貴方のためなら、何でもする覚悟はできてます…言われた事はちゃんと守ります……し、できるだけ迷惑も手間もかけさせな「まてまてまてまて!!」…?』
「俺のものにって、お前は物じゃねえんだからんな言い方しなくても…」
『…ダメ……ですか…?』
うんって言ってもらわなきゃ…この人のものだって言ってもらわなきゃ、私とこの人を繋ぐものが他になんにも存在しないから。
血が繋がってるわけでも、正式な家族でも友達でも仕事関係でさえもない。
なんでもいいから“形”が欲しい。
貴方の傍にいてもいいという、形ある鎖が私は欲しい。
貴方になら、繋がれたい…繋いでいて欲しい。
「ダメとかいう以前にだな!?…迷惑にも手間にも思わねえし、そんな召使いみてぇ扱いはしたくねえぞ俺は?」
『…わた、し…の、我儘……はこれくらいしか…』
だって、貴方にもしも捨てられてしまったら、私はどうしたらいい?
もしも離れられてしまったら?
置いていったまま、帰ってこなかったら?
迎えに来てくれなかったら?
死ねないからこそ、こんなにも怖い。
一度心を許した人間に捨てられるのが。
何の関係も無かったら、支えにも何にも出来ないから。
不安で不安で仕方が無いから。
「い、いやけど…ものじゃねえとしたら、んな言い回し……」
『…ペットみたいに、首輪で繋いでくれてもいい……だから……』
「ああああ、分かった!分かった!!首輪は無し、んでペットも召使も無しだ!!いいな?お前は俺の奴隷じゃねえからな?…お前はしたい事をしたいと俺にちゃんと口にすること、まずそれだ。それは言うことを聞くんだぞ…お前は俺のらしいからな?んで…」
お前が俺のものだってんなら、俺はお前のものになろう
言われた意味が分からなくて、目を丸くしてえ…、と声を漏らした。
「…不服か?……これなら対等だろ?そのくらいは我慢しろよ」
『…どう、いう……?意味が…』
「俺のもんになるっつったからには、ちゃんと俺に大事にされろよって事だ……大丈夫だよ、心配しなくても離してやんねえから。俺はお前のもんになっちまうから、お前から離されねえ限りは何があっても手離せねえんだ」
何の持論だそれは。
突っ込みどころは満載だ。
けど、嫌じゃない。
不思議と、対等だなんて私には勿体ない言葉が、嬉しかった。
「……意外と泣き虫じゃねえか…」
