第19章 繋がり
「他の奴って…何がだ?」
『…他の人、ばっかり……一緒、で…私おいてけぼり、で…………!?…ごめんなさい…なんでも……』
「……他の人って、森さんか?あの人とはあと二日くらいは話し込むことがあって…お前に聞かせられるような話じゃねえからなあ…」
『……分かって、ます…ごめんなさい…。…大人しくして、ます』
「大人しくって…ああ、そうだ。それなら夜の内に報告まで終わらせるようにするさ、そうすりゃ説明も楽だし…それにお前が起きてる内に長くついててやれる」
私の勝手な発言に返ってきた答えに、驚きを隠せず手を離した。
すると眉間に眉を寄せず、少し柔らかな表情をした中也さんがそこにはいた。
不覚にも、こっちが見惚れさせられたりなんかして。
『…中也さんのお仕事長くなります……それなら私も何か手伝っ「お前が見ると多分怖がっちまうようなもんだから。…血とか切られるところとか、まだ見るの怖ぇだろ?」!!…なんで知って……?』
「分かるさ、それくらい。お前のいた環境がどんなもんかは理解してる…それに、普通怖くて当たり前だろそんなもん」
だから、私には聞かせられない。
特別今はそういう話が恐ろしいから。
だから一緒にはいさせられない。
私のことを何よりもちゃんと考えてくれているから。
『それで…?……け、けどそれくらい…中也さんが大変なのに比べ…たら……』
「……お前はもう人の何倍も大変な思いして生きてきてんだろうが。ゆっくり休んでくれればいい…そんで朝からまた元気な顔見せてくれよ、そしたら俺すっげえ癒されっから!」
『…癒され……?』
「誰かと一緒にいんのがこんなに嬉しいと思ったことねえぞ俺…お前といて、そんでなおかつ蝶が元気なら、それだけでも嬉しいんだ俺は」
歯を少し見せて笑う表情に、また心を掴まれた。
そんな表情されたら、逆らえなくなる。
『……蝶、中也さんには逆らえそうにありません…』
「逆らうってのは違ぇかもしれねえけど、勝手言ってくれてもいいんだぞ?寧ろ我儘言うべきだお前は」
『…だいぶ叶えてもらってます、から……他に思いつかないです』
思いつかねえって…と苦笑された。
だから、それならばと必死に考えた言葉がこれだった。
『じゃあ…蝶を、中也さんのものにしてください……私は貴方のものになりたい』
「おう、そんな事ならいくら…でも?」
