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第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ


「あーあ……やっちまった」

昨日と同様、先に蝶を風呂に入れてから、一人ソファの上で項垂れた。
何度も言うようだが、俺だって男だ。
目の前で女にあんな顔をされんのには参る。

言うまでもないことだが、別に誰彼構わずに口付けを許せる男なわけでもない。
今回のことだって、きっと相手があいつでなければ……蝶でなければ、女だろうが子供だろうが、力ずくで跳ね除けることが出来ただろう。

そう、蝶でなければ。

ファーストを奪ってしまったものの、それを嬉しそうにするあいつは、本当にそれで幸せなのだろうか。
相手が俺だったから、無理して嫌なのにしたんじゃないのか?

何度もそう考えた。
けれど、さっきのあいつの顔を見ていると、本当に俺にもらって欲しかったと言っているような…


もしも蝶の言う俺への好きが、俺が見て見ぬ振りをしようとしているこの気持ちと同じものなのだとすれば。
俺は、どうすればいい?

思うように、自分のものにしていけばいいってのか?

____私は中也さんのものだから

あいつの言葉が何度も何度も頭の中を巡る。



俺が蝶に向かっていけないのは、蝶が俺に懐いているだけだと思っているから。

でも、もしもそれが勘違いなのだとしたら

さっきの蝶の笑顔が、伝えてくれた俺への好きが、そのまま言葉通りの…俺を男として好きなのだとすれば。

俺はきっと、止まれなくなる。


だから、まだダメだ。
唇を奪ってしまったのだから、尚更慎重にならなければならない。


「……にしても、なんで今日に限ってあんな格好して帰ってくっかな」

慎重にならなければならないはずなのに、蝶のまだ初々しい顔が忘れられない。

ただでさえキスをされて我慢するのに必死になっているというのに、何故か今日はいつもと制服の着こなしが違った。

俺の服を着せたら、丁度あんな風になんのかなとか考え出せばとまらない。

あの格好で泣きつかれてキスを迫られると、断れる男なんて恐らくいないだろう。
しかしどうして、突然髪型なんか変えたんだ?
小さい頃からサイドアップが好きだっろうに…


「思春期ってのも難しいな…ったく」


呆れたように呟くが、その実かなり似合っていた。
髪型だって変えて、着飾りたい年頃なのだろう。


「!そうか、着飾りたい年頃……でも、俺に出来んのか?そんな器用な事」
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