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第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ


舌同士がくっついたところまではいいが、やはりどうすればいいのか分からないのだろう。
一向に行為が進もうとする気配はない。

しかし俺だって、愛しい少女がこんなに必死になっているのを、無下には出来ない。

愛らしさと焦れったさが相まって、蝶の頭を撫でて緊張を解れさせてやる。
本当の深いキスを、教えてやる____気持ちよく、してやる。

肩を跳ねさせ、息継ぎに必死になる様子だが、それでも唇は離させない。
俺のペースに持っていく。

上手く感じさせる事が出来たのか、とろとろに溶けそうな目をして俺を見つめる蝶。
そろそろ俺自身がやばくなりそうだったが、流石にここから先を教えてやるつもりはない。

なにより、これ以上続けていたら、こいつをめちゃくちゃにしかねなかったから、無理矢理ここで終わらせた。


そして、もうどちらのものなのか判別が出来ないくらいに混ざりあった唾液を飲み込んでやると不思議と突然、体の怠さが緩和されるように生きた心地になってくる。

気のせいなんかではなく、苦しくなく、体に負担のかからないよう、徐々に徐々に暖まる体。

蝶の唾液を飲んだからか、それとも別の何かを飲んだからか…

ありえない話ではない。
こいつの体質は驚かされるようなことばかりだからな。
それに、何かを飲ませるためじゃなけりゃ、蝶が俺に口付けをする意味が説明出来ない。

何を飲ませたのか聞けば、血液だと答えた。
何故、いつどこで本人がそれを知ったのかは分からないが、確かにこいつは“初めてした”と言った。
何をと言われれば、勿論キスの事だ。

その場の勢いに任せて、蝶が見ていられなくて応える形になってしまったものの、元はと言えば俺がこんなところを見せてしまったからこうなったようなもの。

それでも、相手が俺だからと。
最初は俺が良かったのだと言う蝶に、胸が苦しいくらいに締め付けられる。

お前は俺に、懐いているだけ……なんだよな?

しかし一つの心残りが、初めては俺の方からキスをしてもらって欲しかったのだと言う蝶。
自惚れんな、俺…

全くこいつは、俺なんかのどこがそんなにいいんだか。

ただただ嬉しかった。
初めてを俺にもらって欲しいという、願ってもみなかった蝶の願望。
何度も自分は俺のものだからと必死に伝えてくれる。


罪滅ぼしに、願いを叶えたかった。
そんなものはただの建前だ____
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