第19章 繋がり
なぜ肉弾戦派と自分で言っていた彼が無傷そうなのかは分からなかったが、心配で心配でたまらない。
彼の異能は私の身体を軽くしてくれたような、凄い力だということは分かる。
しかし細かくは当然知らないし…相手だってプロなのだから。
ふと、彼の注目している方向と反対の方から、彼にめがけて忍び寄る影が見えた。
それに息が止まりそうになって、大勢の人がいる目の前で私は使ったのだ。
瞬間移動で彼の背後の上空へ移動してから、敵味方含めた全員の居場所を正確に把握する。
それからすぐに、私が認識したものの中から、敵の周りだけ空気の侵入を阻むよう、大気をコントロールする。
するとその場にいた大量の敵はリーダーを含めて一斉に苦しみ始める。
「!?何だ…何が起こって……!!」
自分でも久しぶりの実戦だから、十分に相手を警戒する。
恐らくここまでしなくてもよかったのだろうけれど、今度は大量に、白色の蝶を発生させる。
敵の足元に、水平な扉をたくさん作ればあとはそれを一斉に開くだけ。
開いた先は…
「「「な……っ!!?」」」
「…白…い、……蝶……ッ!!!?」
中也さんよりも少し距離を開けた彼の前方…その上空。
それによって、その場にいたはずの敵は全員が一箇所に山積みになる。
全員が積み上がったところで敵も気絶して、外に移動して確認してみても、周りには誰もいないような状況だった。
『これで全員…?……思ったより疲れ「おい」…!』
床にへたり込んだところで、また周りから武器を向けられた。
それも私を警戒して。
「何者だ?…異能力者だな、どこかからの刺客か何かじゃ「っせえよ、武器下ろせ手前ら!!!」!?中原さん!!?」
「いいから今そいつに武器向けてる奴ら、とっとと下ろせ!!消火の方がさきだろうが!!!」
「「「!!はっ!」」」
武器をしまって、それから中也さんの指示通り、本当に消火活動に回る構成員たち。
中也さんって、いったい…?
『……っ、?』
ぼうっとしていると目の前に慌てて中也さんがやって来て、膝をついて、動揺したような声を出す。
「大丈夫か…!?誰かに何かされて、ねえか…?」
怒られるか、嫌われるか怖がられるか。
そのどれかだと思っていたのに。
彼は私を“心配した”のだ。
それにこちらが驚かされて、思わず顔を上に向けた。