第19章 繋がり
尾崎さんに言われた通りに、心配にはなりつつも大人しく執務室で待っていれば、ドアが軽く数回ノックされた。
外からは部下の人のような声が聞こえるのだけれど…妙だ。
こんな非常事態とも取れるような状況であれば、幹部が執務室に篭っている方がおかしな話…いくら部下といえども、ちゃんといくつかのパターンで決められたマニュアルのようなものがあるはずだ。
尾崎さんが幹部であるというなら尚更…とすると、ドアの向こうの相手は……
『…敵……ッ』
見極めた瞬間に爆音が鳴り響く。
咄嗟に防御癖を扉に張って、飛散するはずだった扉の破片の侵入も防ぐ。
「な……っ、餓鬼…!!?」
「なんの異能だこれは!?入れねえぞ!!」
事情はどうあれ、尾崎さんの執務室に入らせるわけにはいかない。
今この場には私しかいないわけだし…寧ろここにいてよかったのかもしれない。
そのまま執務室の外へ出てから、ここを襲おうとした四人のオトナの背中を取る。
「!!消え……ッが…っ、!!?」
そのまま四人の周りから空気を阻ませ、少ししてから気絶したらそのまままた壁で囲ってその場から去った。
おかしい、さっきからやけにふらつく。
もしかしてこの世界…エネルギー源になるものが大気中に存在していない世界なの?
それなら危険だ、今の私の体の小ささで下手に壁を張り続けたら、すぐに血が足りなくなって下手を打てば死亡するリスクだってある。
喉を鳴らして生唾を飲んで、それから走ってポートマフィアの拠点の中をうろついていく。
相手が爆弾を携帯しているということは分かったから、屋内戦ではかなり拙い。
不意に頭に過ぎった中也さんの顔を振り切るように走り、最上階から下に向かって、敵の侵入加減を把握するために見て回る。
それからある程度の階層まで降りてきたところで、どこかの部屋へと武装した敵が入っていくのを目にした。
部屋の階層を考えてみても、恐らく放っておいていいような部屋ではない。
覚悟を決めて中に入ると、そこには寝台に横になっている年配の方と、武器を持った黒服の方々がいた。
まさか、動けないでいるあのご老人が相手の狙いか…?
まあそんなことはないか、と思いつつも、激化しそうな戦いの渦中に飛び入って、手際よく相手の手に持つ武器を自分の手元へ移動させる。
異常に気づいた相手が、ついに私の方に気が付いた。