第19章 繋がり
一晩明けてもやはり身体はまだ思うように動かせず、結局はまた中也さんに異能でサポートしてもらうことになってしまった。
森さんの所へ向かうという事で、着物は流石に買い物もあるからとお断りし、中也さんの服をワンピースのように着こなして彼の後ろをついていく。
『………?…!』
「…なあ蝶?」
『……あ…蝶…はい、蝶です』
追いついては離れ、追いついては離れ、と中也さんの後ろを早く歩いたり離れたり。
「……なんでそんな後ろついてくんだよ?」
『…な、んとなく……です』
「速いって言ってもいいんだぞ?…見てて面白ぇから放っておいたが」
ぷくく、と手で口元を押さえているも笑いの漏れている中也さん。
『面白…?』
「そんな気ぃ使わなくてもいいって」
言ってから、中也さんは私に合わせるようにゆっくり歩くようになった。
中也さんに気遣わせるつもりなかったのに。
『…普通の速さで大丈夫です』
「俺の異能ねえと歩くのしんどい奴が強がんな」
『あうっ…』
トン、と指でおでこを軽く突かれた……痛くないけど。
確かに筋力は落ちてる分、中也さんの異能のおかげで歩けている部分は大きい。
それに、適度に身体に負荷がかけられるから、リハビリにも丁度いいだろう。
本当にすごい異能力だ。
「とりあえず今から姐さんのところへ行って、お前は身長測ってもらえ。あとそれから、苦手なことや苦手な食べもんとか、怖い事なんかがあればなんでも伝えろ…いい人だから」
『!…中也さんは……?』
中也さんはどこに行くのかとそちらを見ると、え、俺?と中也さんは目を丸くする。
「俺は暫く森さんに話があるからな。昨日の分の仕事の報告だ」
尾崎さんの執務室の前に到着すると、中也さんがドアをノックする。
「姐さん、俺です。あいつを連れ「来たのかえ!!?童の愛し子よ!!!」…ってぇ…!」
物凄い勢いで開けられたドアに、中也さんは額をぶつけてぷるぷると震える。
上下関係的に何も言えないのもあるだろうけれど、どうやら尾崎さんには逆らいにくいらしい。
『中也さ「昨日と変わらず可愛い女子じゃ!前髪も切って正解じゃったのう!」お、尾崎さ……その、中也さんが…?』
「…鍛えてっから大丈夫……だ」
『……ッ、血…』
「あ?血がどうし…!……見んな、大した怪我じゃねえ」
中也さんに目を手で覆われた