第19章 繋がり
『なんで今日…!?』
「名前決めたの日付超えてたから今日。丁度いいじゃねえか」
『た、んじょうびとか…っ、私……』
何回だって、生まれ変われるのに。
「…“白石蝶の”誕生日は今日だ。昨日の話は糞太宰の野郎と織田から聞いたが……死ぬことは許さねえ。生きろ…白石蝶の命は、白石蝶のもんだ」
『…どういう……』
「今のお前のその身体…白石蝶のその身体、そいつは蝶のもんだろ。……俺の為にも殺さねえでくれよ」
『!………中也さん…って…』
意外と、ロマンチストですか?
思わず口から本音が漏れた。
すると一瞬で彼は私の頭に拳を当てて、それをグリグリと…
『……った!?いたっ…ちゅ、やさ…!?』
割と痛かった。
頭割るかと思った。
いや、だいぶ手加減されてはいたけれど。
「そういうのはいいだろ別に!?…要するに死ぬなっつってんだ、いいか?お前は俺と一緒に年重ねていく…んで、蝶が死んだらお前も死ぬ。それでいいじゃねえか…そしたら、ちゃんと大事にしてくれんだろ?蝶のこと」
『大事に…って………』
まさかこの人、私が死ねない事をコンプレックスに思ってる事を考えてこんな事を…?
私が死ぬ時を作ってくれる人なんて、生まれて初めて出会った。
私を殺す…確かにそれなら…そう思えるようになれば、とても救われるような気がする。
…もうとっくに嬉しさで胸がいっぱいになってるくせして何を考えているんだか。
「………してくれるな?…俺は、蝶がそうしてくれた方が嬉しい」
『…し、ます……それでいいです』
中也さんが嬉しい…それなら、それが一番いい。
だって、中也さんが嬉しいのは私も嬉しいことだから。
「九月二十四日な、覚えとけよ。まあまず俺が忘れねえが」
『な、なんか中途半端な日付け…今九月だったんですね……』
「覚えにくいか?俺はすんなり……お前、俺の誕生日なら覚えられるか?」
『中也さんの誕生日…っ』
寧ろ聞きたい、中也さんの生まれた日。
もしも本当にこの先ずっと一緒にいられるのなら…私だって、彼のことを祝いたい。
ありがとうって、伝えたい。
「四月二十九日…俺も、中途半端な日付けで『覚えました…!』早ぇな、おい」
一生…多分、永遠に忘れない。
「ならそれ、数字。反対側から読んでみろ」
『?反対って……九と二十四…!!中也さんすごい…!』