第19章 繋がり
翌日、朝がきて、悪夢にもうなされずに目がすっきり覚める。
中也さんに貸してもらった大きなシャツは健在で、それが一番私に現実味を味わわせた。
『…!』
そして隣に目を向けると、本当にそこには彼がいて。
「……起きたか…はよ…」
『…おはよ…ござい、ます……』
なんだか大人っぽく見えたのはきっと気のせい。
少し昨日と違うような気さえする程に、落ち着きというか…冷静さがあるような。
「飯…は、まあこれから練習しねえとな。思った以上に下手だわこれだと」
『?ご飯…私、作れま「いいや、ダメだ。絶対ぇダメだ」な、なんで…?』
「…危ねぇだろ」
『…………へっ、?』
目を点にして聞き返した。
待って、今なんて言ったこの人。
「だからな…台所には危険が多いんだよ!!包丁にナイフにピーラーにすりおろし器にミキサー…それに金属製の調理器具に火に熱だ!!危ないだろお前が!!!」
急に熱が入り始めた中也さんに困惑した。
大人に…冷静に……?
あれ?
これは…なんというか……
『…中也さん、…って……過保護?』
「お前の身に怪我でもあったらどうするんだよ!?自責の念に駆られて即死ぬぞ!?俺が!!!」
『いや、私料理出来「とにかく俺は自分がやるっつったらやるからな!?しかもお前に作らせたら絶対自分の分ほとんど作らねえだろ!!」…』
バレてたか、流石は野生の勘の持ち主。
「しばらくはあんまり旨くねえから我慢させるかもしれねえが…まずは粥から完璧にしてやるぜ…」
あれ、お粥ってそんな料理だっけ。
なんて思ったのは多分永遠に秘密、言ったら多分この人泣く。
『…じゃあ……お言葉に、甘えて…?』
「!…おう、任せとけ!!…………そういえば疑問なんだが、お前今何才なんだ?」
『?年?……は、一応…六歳…だと思います』
「誕生日とかはあるのか?」
誕生日…生まれた日付。
この世界の暦は日本国の暦に合わせればいいはずだから、分かりやすいといえば分かりやすい。
けど、もう誕生日なんて頭に置いていなかった…そんなに人と触れ合うことも、暫くはしてこなかった。
無理矢理何かに巻き込まれたりはあったけれど、こんな風にはいかなかったし。
『…忘れちゃいました』
「……そうか…………じゃ、お前の誕生日今日な」
『はい、分か…………はい?』
「今日。白石蝶の誕生日」