第19章 繋がり
あれからしばらくして森さんが医務室に戻ってき、私が寝ている間に血液検査を行ったという話を聞いた。
私の血液型はB型で、B型に輸血できる血液の全てと接触させて反応を見てみたところ、なんと一人だけ、私の血液が凝固しない血液の持ち主が発見されたということ。
他のどの世界でも私は輸血を必要とするようなことは無かったため、この世界で実験を受けて初めて知った事実だったわけなのだが。
まさか、私に血を提供しても大丈夫な人が……逆に私の血を提供する事もできる人が存在しただなんて。
ひたすらにごめんね、と頭を下げ続ける森さんに、寧ろありがとうございますとお礼を言うと、それじゃあ…と、その血液の持ち主について説明を始められた。
「簡潔に言うとね?運命的というか偶然というかなんというか…中也君の血液、だったんだよ」
『へ…!?…中也、さん……の?』
「そう。だから、まあこの通り…もしも君が危なくなっても、ちゃんと助ける事ができる。本人も了承してくれてるし…逆に、中也君が危なくなった時に君が助けてあげることだって出来るかもしれない」
助ける方法は色々あるけれど…それでも、こんなに嬉しい事があるだろうか。
力になれるかもしれない事が一つ、出来たのだから。
「ま、俺がそんなことになるような事はこねえようにするがな。そういう事だ、安心して俺のところにいろよ?」
『…はい……』
「?…おやおやこれは……ふふ、落ち着いたようでよかったよかった!さあ、もう時間も遅いし…中也君は今日仕事終わってから東京に行ったのだろう?その子と一緒に帰って、早く布団に入らせてあげなさい」
「え…っ、しかし森さん、まだ“首領”に「いいから。首領には私から話しておく…その子を今の首領に会わせるのはやめておいた方がいい」!…分かりました」
森さんの口ぶりからしてみて、ポートマフィアの内情が少しだけ分かったような気がした。
恐らく、“今の”ここのブレーンは森さんだ。
この人がきっと、色々とまとめあげてる…頭のよさそうな人だもの、分かる。
じゃないと、中也さんや太宰さんのような人があっさりと言う事を聞きはしない。
「さて、今夜はゆっくり休むんだよ?今まで長い間頑張ってきた分、これからは中也君にうんと甘やかしてもらいなさい」
『?…は、い……?』
「…君は優しい子だよ」
どっちがですか、そんなの