第19章 繋がり
「…ったく、拾うだけ拾っておいてそんな事言われちゃ、そりゃあ彼女だって混乱するさ」
「けど仕方ねえだろ、こいつはまた別で「そういうの、先に説明しなくちゃ分かんないから普通」説明も何も…」
「ただでさえ環境の変化に戸惑っていただろうに、そんなことしちゃあ可哀想だ。優しくするなら、中途半端な気持ちで関わりを持っちゃいけないよ…………殺してくれだなんて、そんな事言わせちゃいけない」
「…まあ、こいつも色々と問題は抱えてるんだろうがな」
医務室に男が四人。
永遠の眠りについてしまったのではないかと思われてしまうほどに、少女は静かに眠っていた。
元より肌が白く、髪色も相まって余計に白く見えるのだ。
「はい、この子の血液採っておいたから……まずは僕と、君達三人の分で反応させてみよう」
「森さんもよくやりますね、寝てる内に採ろうだなんて。そんなに針が苦手なんですかこの子?」
「苦手とかいうようなものにすら見えなくてね。多分、根本的に恐怖の対象になっちゃってるんだと思うよ。研究所で何があったのかは知らないけれど」
森が採取した少女の血液は、採血よりも遥かに多い量。
本当に何かがあって血が必要にもなれば、見殺しにせず済むように、組織の全員の血液サンプルと反応させるための量である。
試しに森、太宰、織田と、別々のケースで反応させていくと、少女の話していたとおりの…想像を遥かに上回る速度で、血液が全て凝血してしまったのだ。
「こんな一瞬で…“触れただけで”って、こういう事なのか…!?」
「驚いた、本当にこんな事が…」
「……全部試してみるよ、今日中に。とりあえず次は中原君のを……っ?あれ?これは…」
「!固まってない…?いや、しかしこいつは輸血って言葉に怖がる程には……どういう事だ」
触れただけでも固まる血。
そのはずだったのだが、中原の血液とは、どうしてか触れても…少し量を多くして混ぜてみても、どういうわけだか反応を見せない。
「……!他のサンプルを解凍させてる間に結果が出てるね。“これ”」
森を除いた三人には、詳細までは分からないもの。
しかし、少女が運ばれてきてから真っ先に行われたその検査の結果が出て、三人の興味はそちらへ注がれる。
「結果が出れば、反応させるサンプルの数も絞れます…結果は?」
「うん。この子…………“B”だよ」