第19章 繋がり
「思った通りじゃ、やはり良い…!!」
『お、ざきさ…ッ……こ、こんなの私、着れないです』
「何を言うておる、もう誰に着せるでもないような大きさなんじゃ、其方に着せる以外に使い道はない……ほれ、中也も何か言ってやらぬか?何故そんなに顔を背けておる」
尾崎さんの元にまた強制連行され、結局着物を着せられた。
しかしどうも、華やかで綺麗で上質な着物は私とは不釣合に思えてならなくて。
中也さんは私の体がこんなに小さいのにも関わらず、着替え中はこっちを見ようともしなかったし。
子供の格好見られたところでなんともないのに。
というよりとっくに見られてるのに。
『………あの、やっぱりお返しします……似合わない、ですし…』
「そのように思うのはお主だけじゃ、押し付ける」
『…でも……』
「……似合ってんだろ、もらっとけ」
ポソリと聞こえた声。
そちらに目を向ける勇気はなかったけれど、私のものでも尾崎さんのものでもない声が示すのは一人だけ。
「ほれ、中也も言うてお………ほう?」
「あ?どうし………!?どうした!!?」
『え……っ?…??』
無愛想でぶっきらぼうな言い方だったけれど、だからこそそれは彼が本音を口にしてくれたということで。
何故か、またドキリとした。
バクバクする胸の意味が分からず、顔全体が熱くなる。
似合ってるなんて、そんな簡単な一言でこんなに身体がおかしくなるなんて。
「おやおや、真っ赤じゃのう…ふふ、可愛いい女子じゃ、ますます気に入った」
「姐さん!?どう見ても様子がおかしいだろこいつ!?どこか痛かったとか…ま、まさか嫌だったか!!?無理矢理着せたならすま『…着ま、す……』え…」
「ほう?着てくれるか…なんなら他のも持っていくがよい!その方が“中也も喜ぶじゃろ”」
『!……じゃあ…』
一つ、頷いた。
中也さんが、なんでか知らないけれど喜んでくれるというのなら…中也さんと親しそうなこの人がそう言うのなら。
嫌な気は全然しなかった。
「そりゃ服が無ぇよりは…「戯け!デリカシーも無ければ女心もわからぬ奴じゃ!」いってぇ…!!?なんだよ姐さん!?なんで殴っ…」
「可愛いなの一言でも出てこんのかこの子のこの姿を見て!!?」
「はあ!?可愛いなって…、だってこいつはそっちよりも綺麗だろ!?」
またトクン、と胸が高鳴った。