第19章 繋がり
自分から言えるはずもなく、結局森さんの提案に甘んじて頷いてしまった私は、中也さんが出てくるのを待って廊下で座り込んで待っている。
別に他のところに行ってもいいのだけれど、なんとなく、彼に時間を割かせてしまっているのに自分が自由なのはおかしいな、なんて考えて。
「…?おい、どうして子供がこんな所にいる?季節も季節だし、そんな薄着じゃあ風邪を………見覚えあるな、この上着」
『?…誰……?』
「…ああそうか、太宰の言ってた……中原が連れ帰ってきたっていう…?」
大人の男の人…それも冷静で、真面目そうな人。
一言目からしてみて親切さが伺える。
風邪なんてひくわけないじゃない、こんな風に大きいくらいの衣服があるのに。
男性の言葉にコク、と頷くと、何故だか彼は私と目線を合わせるように膝をつく。
そんな彼の行動に少し困惑していれば、彼は私の目を見ながら穏やかな声で名を名乗る。
「俺はポートマフィアの最下級構成員……織田作之助だ。織田と呼んでくれてもいいし、周りからはよく織田作とも呼ばれてる」
お前は?
そう問う彼に、私は大した事は答えられそうにない。
『…名前……ないから』
「……そうか、それならまた、出来たら教えてくれ。俺は森さんに用事があってここに来たんだが…どうしてここで蹲ってるんだ?」
『なんとなく。…織田作…は……?…あ、ごめんなさい…織田作さんは…』
「織田作でいい、敬語も付けなくても。俺は太宰に頼まれたお使いのようなものだ」
太宰さんにお使いに駆り出されたのこの人?
太宰さんより大人なのに…?
なんとなく親しみやすいというか、警戒せずに済むような彼の雰囲気に落ち着かされ、もやもやしていた気持ちが静まったような気がした。
『……ねえ。中也さん…って、どんな人?』
「中原?…そこまで接点があるわけではないが…まだ少し子供だな、まあ十四だし。太宰にいいように遊ばれてる……ただ、根は単純にいい奴だとは思う」
周りからの信頼もあの年なのにあるし、何より強い男だ。
織田作は私にそう言った。
根は単純にって…単純でいい人のまちがいじゃないのかしら。
ああ、でも単純なのか…それに強いって、どうりで一人で乗り込んでなんかくるわけだ。
『…なんで私なんか、拾ったのかな……お母さんにもお父さんにもいらないって言われるような子なのに』