第19章 繋がり
「こんな…そんな事が……いや、しかしそれならば…死なない体質…」
『……ね。化物でしょう?異能力者なんてそんなの、こんなのに比べれば全然真っ当な“人”ですから…だから、優しくされても困るんです…………嫌なんです、また離れなくちゃならないのに』
私だけが、取り残されてしまうのに。
出来るだけ思い出に残らないで…“これ以上”、もう私の大切にならないで。
「……寂しいのが嫌だって思えるような、怖がりな君が化物?そんな風に僕には見えないよ」
『また…説明したじゃないですか。これが被験対象になった理由だって……血液だってそう、私の血は、他の血液に触れると凝結して…』
「それでも君は人間だ…心無い人々に支配されてきただけだよ。そいつらの方がよっぽど化物さ。…………って、多分中也君なら特にそう言うよ?」
『!!…感謝、はしてます……けど、だからこそ迷惑かけちゃ…って……』
私が死ねない事を聞いても、“この目”を向けてくる人は久しぶり。
前の世界以来だろうか。
「もう少し、甘えてもいいんじゃあないかな。…今まで我慢してきたんだ、ずっとずっと前の事は分からないけれど……それでも、たまには甘えたっていいじゃない。ね?」
頭に手を伸ばされそうになって思わず後ずさると、森さんはその手を止めて元に戻した。
『中也、さんの方が嫌になりますよ……厄介なのを連れてきちゃったって…』
「なら、彼の言った通り、彼が嫌だと言うまで一緒にいればいい」
『……この事知ったら、すぐにでも嫌になりますよ』
「そうかな?僕が嫌にならないくらいなんだけど…なんなら大きくなったら旦那さんにでも貰ってあげなよ!あの子、女性の扱いが全然なってない上にあんな性格だからさ!」
突然笑いながら何を言い出すんだこの人は。
そもそもこんな、人外のような私が彼の中でそんな対象に入るわけがないだろうに。
この時、どうして自分の中で彼を否定しなかったのかは定かではない。
けれど、一緒にいるというのが嫌ではないことだけは確かで、だけどあの人に自分の事を知られてしまうのが怖くて、がんじがらめになっている。
話す…?
話したら…諦める?離れていっちゃう?
……あれ、なんで私…
『離れないでって思って……?』
「…僕から、説明しておいてあげようか?身体の事」
微笑みながら森さんが言った。