第19章 繋がり
「いらぬとはまた…どうしてじゃ?」
『…私には、名前なんて大層なものはいらないって………“化物”だから。化物は化物らしく、被験者の番号で十分だって…名前なんてあったところでって思います、し…なくて、いいです』
どうせ、ついたところで私を呼んでくれたって、皆すぐに離れちゃうんだから。
どうせ私が一人になっちゃうんだから…どうせまだ死ねないんだから。
「なら俺が付ける。誰にんな事言われたのかは知らねえが、こちとら手前を化物と思って連れ帰っちゃいねえんだ…あと呼ぶ時にめんどくせぇ」
『……付けないでください、すぐに一緒になんかいたくなくな「誰がなるか。俺がそう口にするまで手前、絶対ぇ逃げんなよ」…私が逃げてどこに行くんですか』
「さあな。とりあえず俺といろ…そんだけだ」
なんてめちゃくちゃな意見だ。
それに私の事だって知らないのに、なんでここまで言える?
なんで、こんなのと一緒にいたがるの?
『…わけ、分かんない……ッ』
「…あ?……?んだこれ、白い……蝶?」
「?……!其方、いったい何を…!!」
白色の蝶を舞わせて、まだこの建物の構造をよく理解していない私はやはりまた、同じ場所を目指して扉を作る。
一緒にいるのが怖い……一緒にいてくれるのが、怖い。
なんでそんな風に言えるのかが分からない。
なんでこんなに一緒にいたくなっちゃうのかが余計に分からない。
扉を医務室に繋げて一瞬で中に入り、また同じ寝台にたどり着いて布団に包まって膝を抱えた。
「?…って!?なになに、また帰ってきちゃったの君!?」
『………森さん…あの人、なんなんですか…っ?なんで、私に…私なんか…』
「中也君に何かされたのかい…?」
少しの間何も答えられないでいると、されてない?と聞き返されたため、小さくはい、と答えた。
「………怖い?彼の事」
『………分からない…です……なんで私にあんな風にしてくれるのかも…なんで一緒にいてくれるのかもっ…、今更人に優しくなんてされたって、わからない…のに…』
意味、ないのに。
欲しがらせないで、願わせないで。
人に優しくされるのが久しぶりすぎて、拒むどころかどうすればいいのか何もわからないこんな時に。
『一緒にいたって、さよならしなくちゃいけないのに…っ』
「!……それ、もう少しよく聞か「手前!ここにいたか!!」…はあ……」