第19章 繋がり
「かぁわいいのう…♪其方がどこから来たのかは聞いておる…全く、このような女子を水槽に閉じ込めて飼い慣らすとはいい度胸じゃ。じゃが安心せい、ここなら中也だけでなく、童も他の異能者もおるからの」
『飼い慣らす…?…あ、中也さんがさっき、私の事ペットにするって「言ってねえよ!!!それくらいの感覚で拾ってきたってだけだっつの!!!」…?』
連れてこられたのは和室風の執務室で、そこには綺麗な綺麗な和装の女性が佇んでいた。
大人の女性だ、本当に綺麗…こういうのを綺麗って、いうんだろう。
私なんかとは全然違う、普通の綺麗な女の人だ。
和服の女性は尾崎紅葉さんというらしい。
私に服を見繕って下さるのだとか……成程、それで着物でもいいかって……って待って、着物?
『……き、着物って高いんじゃ……っ、そ、それに私なんかがそんな綺麗なの着れない…です』
「?何を遠慮しておるのじゃ、寧ろ着物の方が勿体ないくらいじゃよ。こんなに可愛い娘に着物ごときでいいものかどうか…のう?中也?」
何故だかにや、と中也さんに向けて笑みを見せる尾崎さん。
「姐さん、そういうからかいはどうかと…着てみろよ、多分似合うから」
「おや、あの中也が女子にそのような事を口にするとは」
「何ですかさっきから、だってこいつ、どっからどうみたって整った顔立ちしてるんですよ?なんなら着物、俺が買取ります」
『……や、やっぱりお返ししま「其方に売りつけた所で利益にはならぬ、無理矢理童が押し付ける」え、あの…』
一々心臓に悪い人だ、整った顔立ちとかそんな事、なんで言えるんだろうこの人は。
「いいから着付けてもらってこい…の前にその伸びきった前髪も、手前さえ良ければ切ってもらえ」
『!…中也さん、は…来ないんですか……?』
「は?そりゃ手前、女が…」
じ、と中也さんの方を見つめれば、暫くしてからふい、と逸らされる。
「なんで着替える時に俺がついて行くんだよ、大人しく外に出てるっつの…っ」
くるりと振り返る中也さんの手を握ったままでいるとそれをす、と離された。
『あ…』
行き場をなくした手が宙を切って、胸に大きな穴が空いたような虚無感に襲われる。
けど、ダメだ、迷惑かけちゃ。
せめて迷惑だけは…
「……中也、もう少し構ってやらぬか。其方が無理矢理連れてきたのじゃろう?…一緒にいてやれ」