第19章 繋がり
『……あの、中也さ「とりあえず着物でもいいか?服はまた今度調達しに行くとして」え、服って何を…じゃなくてっ、その…』
「!どうした?和服は動きづらいか?それなら洋装に『そうじゃなくて…!』な、なんでも言ってくれよ?」
『え、っと…その……なんで、見ず知らずの私に、ここまでして下さるんですか…?……なんで、こんなに良くして…』
本人に直接聞いてみればいいよ。
そう言われた通りに、小さい声だがちゃんと口にした。
一瞬繋いでいる手がピク、と反応したものの、離されることはなく、中也さんはどこかに移動しながらもまた口を開く。
「そりゃあ…俺の勝手だ。理由がねぇとダメなのかよ?餓鬼は何も心配しねえで守られてろ」
『………はい…』
守られてろ、なんて。
それはつまり、私を守ってくれるって言ってるのと同意語だと認識してもいいのよね?
まだ能力だって身体が小さくなったせいか不安定なままだし、うまく戦いにくいし。
そこはいい、そこは予想してなかったくらいによすぎる返答で寧ろ吃驚してる。
けど、違う…違うんだよ。
『……………私、餓鬼じゃない…』
「…なら餓鬼になれ、大人になろうとすんな、甘やかされてろ」
そこも違う、そうだけど…そうじゃない。
理由がないとダメなわけじゃないし、誰だって言えない事や…本当に何も考えないで行動しちゃう時だってある。
けど、私からしたら…理由が必要なんじゃない。
理由がないと、怖いだけ。
本当は何か企んでるんじゃないかって邪念が消えなくて、本当は私なんかただのおもちゃにしようとしているんじゃないかって。
「……何が怖い、言ってみろ」
『!…へ…大丈……』
「手が震えてる、それくらい分かる。…いきなり出会って信用しろなんて言われてそうする方が難しいだろうが……あああ俺はな!要するにだ…手前を家に連れ帰って、生活しようと思ってる!!そんだけだ!!」
中也さんの発言にまた困惑した。
私と…同居?
ますます意味がわからない、といった顔を彼に向けると、はあ、とため息を一つついてからまたよく分からない事を話される。
「……感覚的にああいうのだよ、飼いてぇ猫を拾ってきたみてえな」
『!…私、中也さんのペットになればいいんですか?』
「そういうわけじゃなくてだな!!?…ああもうそれでいいよ、とりあえず服もらいに行くぞ、服!!」