第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
好きな人に、ファーストキスを貰ってもらえた。
その事実がどれだけ嬉しい事か。
『中也さん、ありがとう』
「俺も……ありがとう」
中也さんのありがとうの意味するものが分からず、目を見開いて中也さんを見た。
『中也さん………あの、聞きたいことがあって』
聞いてみよう。
素直になって、聞いてしまえばいい。
『何で、私に…キスしてくれるんですか?』
聞くと、今度は中也さんが驚く番だった。
そりゃあびっくりするよね、いきなりそんなこと聞かれたら。
何でそんな事を聞くんだって、思うよね…。
『私、中也さんになら、されるのすっごい嬉しいです。でも、何でされるのか分かりません…それはちょっと、ほんのちょっとだけ、不安になるんです』
「悪い……いつか絶対教えるから、今はまだ待っててくれねえか。ただ、俺はお前の事を大事にしたいと思ってるってのに嘘はねえから」
今は、まだ。
いつか、彼が教えてくれるというのならば、その時まで彼を想い続けよう。
中也さんが言ってくれることだ、絶対に嘘はない。
中也さんは私に嘘なんて吐かないから。
『はい、それだけ聞ければ十分です!…さて中也さん、昼間に言った事、覚えてますよね』
心からの笑顔で返事をしてから、私は自分の悪知恵を働かせた。
ね?と聞くと、中也さんは私にもたれかかって項垂れる。
「はあ……お前、ホントいい性格してるよ」
『中也さんにだけですよ』
ギュッと、今度は上体を起こしている中也さんに抱き着く。
中也さんも私を抱きしめ返す。
「余計タチ悪ぃ…まあ、他の野郎にしてねえってんなら、仕方ねえから許してやる」
『当然ですよ〜、んー……何してもらおうかなぁ?一緒にお風呂にでも入ります?』
「ブッ!!……おまっ、なんて事言いやがっゲホ、!!」
冗談で言ってみたら思った以上の反応。
『本気で言うわけないじゃないですか、そんな恥ずかしいお誘い出来ませっ……中也さんっ、ダメ、それずるっ』
言い切る前に首筋をツツ、となぞられる。
「聞こえねえなぁ、なんも聞こえねえ」
中也さんに捕まって何とか刺激に耐える私を見ながら、中也さんは楽しんでいるようだった。
『やぁっ、だ、め……っ鬼!』
「はいはい、鬼で結構だよ」
『……でも好き』
「〜〜〜っ!!」
今度はまた昼間の様に、頭をたくさん撫でられた。
