第19章 繋がり
けど、日本っつう概念は持ってんのか?
彼が聞く。
中々、言葉遣いの割には頭が切れるらしい…野生の勘というやつだろうか。
『…知識だけなら』
ここの日本が、私の知ってる他の日本と同じであればの話だけれど。
「そ、そうなのか…手前は出身地は分からねえんだったな。顔立ちからして日本人じゃなさそ『ハーフですよ』え…?」
『だから、ハーフ…どことどこのかまでは分からないですけど、純血じゃあありません』
「…ハーフにしても、不思議な容姿になったもんだ……どう突然変異すりゃあんな綺麗に生まれて……………あ…?」
中原さんの言葉に、まじまじと私に顔を近づけるその表情に、固まった。
それは彼も同じなようで、すぐに目の前で固まった。
それからなんだかじんわりと胸があたたかくなってきて、少しだけ、ドキドキと鼓動を身体で感じ取れるようになる。
『え…と、その……っ、そういうの慣れてなく、て…』
「あ、あああああ悪い!!いや、何か企んでるわけでも他意があるわけでもなくてだな!!?」
私にそんなふうに言う人、久しぶりに出会った気がする。
それに今はこんな小さな身体なのに…そんなのに対して綺麗なんて。
とりあえずいいから飯食うぞ飯!!
と無理矢理彼はその場の空気を押しのけて食事を始める。
それもご丁寧にいただきますと手を合わせてから。
服装からしてみても、意外と育ちが良い方なのだろうか。
先程の敬語といい、マナーや礼儀がしっかり身についているような…まだこんな子供なのに。
「……手前も食えよ、毒なんか入ってねえから」
『…い、ただきます……』
「!……関心だな」
今のは褒められたのだろうか、本当に関心があるだけなのだろうか。
どちらにしても嫌な気分ではなかった。
彼を真似して…というよりは元々こう教えられていたから、移動先によってはよくしてきていた事。
郷に入らずんば郷に従えってよく聞くし、多分その方がいい……それに私は、この風習は嫌いじゃない。
結果的には真似をしたというか、そのようになるのだろうけれど。
箸を手に取ってみて、まだその感覚を覚えていることに一安心してから小皿に取り分けようと料理に手をつける。
『…………っ…』
否、つけようとした。
箸で料理を摘もうとしたところで、嫌悪感が募って箸を手から離してしまったのだ。
「…!」