第19章 繋がり
日は進んで、椚ヶ丘中学校文化祭の当日。
殺せんせーの提案によって実現したお食事処という出し物は旧校舎で行われるために、客足もなかなか少ないのだけれど…どうするつもりなのだろう、ここは。
「なあ殺せんせー、本当に大丈夫か?こんなんで…いくらいいもん出しててもこの場所じゃ……」
『…まあ、こんな山奥じゃ……他のクラスにお客さん取られちゃうよね』
「何を言うんです、これだけ研究を重ねたメニュー、一口食べれば誰だって虜になりますよ。何のために有名人である白石さんをわざわざキッチンに残していると思っているんですか」
『キッチンじゃなくてもずるっこはしませ……っ?あれ…え、お客さ……!』
山の奥から見えた人影…要するに、文化祭一日目のお客さん第一号。
なわけなのだが。
現れた人物達の前に出て、真っ先に杉野君が声を出す。
「何しにきやがった…!」
「!修学旅行の不良達…!?」
「なあに?まぁた女の子でも拉致りに来た??」
現れたのは高校生の三人組。
それもよく知った顔…嫌な感触をこの世界で最初に教えこまされた、おぞましい存在。
『…ッ、……?』
ガク、とつい膝から力が抜けそうになって、机にもたれかかる。
「!…あの女………もうしてねえよ、化け物先公に出てこられちゃ敵わねえし…それに、本物の化け物には手も足も出ねえどころか頭も上がらねえ」
パチ、と一瞬目が合って、嫌な汗がたらりと流れる。
「白石…?おい、顔色悪いぞ?」
『……何でもない…』
大丈夫だよ、と心配する前原君にそう返すも、疑ったような表情で本当か?と返された。
仕方ないじゃない、思った以上に余裕が無いんだもの。
危なかった、もしもあのまま最後までなんてされてたら…中也が助けに来てくれなかったら。
頭に浮かんだ考えを振り払うように首を振って、外へ出る。
「…ほお?出てくんのか…白石蝶ちゃん?まさかあんたがあの武装探偵社の一員だったとは、驚きだよ」
『……探偵社が何か?』
「いや…あまりにも可愛らしい女の子だったもんで____なぁッッ!!?」
『………へ?』
リーダー格と思わしき人物がこちらに寄ろうとした瞬間の事。
左右にいた二人の男子高校生がリーダー格を押しのけて、私の目の前に現れた。
「本物だって!!本物の探偵社員!!」
「サイン下さいサイン!!…能力見てえ!!」