第18章 縁の時間
翌日の事。
私のお腹は耐性がついたのかなんなのか、もう全く痛くはなく…しかし少し気分が悪くといった状態で朝を迎えた。
折角だから旅行はちゃんと楽しんできなさいとの事で、首領命令で旅館に戻され、いつものように一緒に寝て起きた。
まあ、ただ一つ違う点といえば…
「蝶、朝食がいいか?温泉がいいか?……まあその前に、強制的に俺っつう選択肢が横入りしちまうわけなんだが文句は『なななな、なにしてんですか中也さん!!!?』あ?朝の挨拶だろ、あとさん付けすんな」
『いやいやいやいや、近…っ、近い!!!』
朝っぱらから中也がせまってきてること。
上に体重をかけない程度に乗られてる挙句、顔なんかほぼゼロ距離だ。
何考えてんのこの人、いや本当に。
「散々あんなことやこんなことしておいて今更かよ」
『!!?そ、っれは……ッぁ…う……』
「えっ、何、反抗するんじゃなくて本気で照れんのかよそこ。んな顔真っ赤にしてっとバレっバレだぞ」
『え、いや…中也の意地悪……ッ』
悪い大人の戦法だ。
目なんかまともに見れやしない…恥ずかしいしかないのに大好きだから余計に困る。
「未来の旦那からのサービスだろ…?ああ、違うか、元々そうなる予定だったんだっけか?お嬢さん」
『そ、っの呼び方っ!!』
「ん?…ああ……蝶が可愛い顔してくれる言葉ならいくらでも知ってるからな。……んで、いるの?いらねえの?」
『何がですか、このキ「キス」〜~〜っ、…あ、とで!!今恥ずかし…いから……っ』
未来の旦那、未来の旦那と中也の声を頭の中で何度も反復させて、恥ずかしさでいっぱいいっぱいになった。
「…そう言う割には抵抗しねえのか?これくらいの力なら俺相手でも抜けられるだろ?」
『へ……あ…っ』
逃げるなんて、抵抗するなんて選択肢は頭の中にはこれっぽっちも無かった。
それを指摘されて、また思う。
なんでこんなに好きなんだろう…なんでこんなに離れたくないんだろう。
何度も何度も思う疑問だ。
「………退けねえと、俺このままお前の事好き放題抱きしめるかもしれねえぞ」
『…してくれて…いい』
「!…もう少し可愛いお願いの仕方はねえのか?その方がめいいっぱい可愛がってやれそうな気がする」
『な、に言って……っ、…ぎゅってするの…して、下さい』
「プッ、素直な奴…子供らしくて何よりだよ」