第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
「なるほどな。お前の血のことは納得がいったが……それで、さっきの“あれ”は、誰の入れ知恵だ」
どうやら彼の気になるところは、私がキスをした事よりも、どこで舌を入れることを教わってきたかというところらしい。
『……イリーナ先生。ハニートラップの名手だから…中也さんが血、飲んでくれなくて、意識の戻らない内に飲んでもらおうって思ってそれでっ!』
「それで、聞いたとおりに実行したってわけか。」
『はい…ん、っぅ、!』
まただ、このゾクゾクする感覚。
中也さんの舌が浅く口の中に入り、ピチャ、といやらしい水音を響かせて私の口内をまさぐる。
目を瞑って羞恥と、込み上げてくる快感に耐える。
『ぁっ、…ふ、ぁ……っ、え、』
途中でやめられて、気持ちよさを遠ざけられた。
「何だよ、もっとして欲しかったのか?」
『ぇ、あっ…!!』
否定もできない蕩けきった私の頭では、もう何も考えられなかった。
ぶわっと顔に熱が集中し、今度は強く中也さんの胸に顔を埋める。
「ふっ………無理すんな、下手くそ。でもありがとうな」
『下手、とかっ…私、初めてだったから仕方なっ………中也さん?』
「悪い。……俺がこんな姿見せたから、お前っ」
突如、中也さんの様子がおかしくなる。
焦ったような、やってしまったというような…
『中也さん、落ち着いてっ』
「落ち着いてられるか!お前、ファーストだったんだろ!?」
『!!…それが、どうしたんです?』
指摘されたのは、ファーストキスだったって事。
「どうしたって、蝶…お前それ本気で言ってんのかよ」
『私は、中也さんがまた元気になってくれて良かったですし。何も問題なんてありません』
「お前、修学旅行で捕まった時もそこだけは譲らなかったじゃねえか、…なんで俺なんかにっ」
ああもう、この人は。
どうして私の事をそんなに考えてくれちゃうの。
『中也さんの助けになれて、私は嬉しいんですよ?……私は中也さんが大好きですから』
中也さんを抱きしめて、言った。
きっと、これが恋愛感情だなんて中也さんは思わない。
バレないんだったら、言いたい事を言ってしまった方が、いいじゃないか。
「……ごめん、ごめんなっ…………本当にごめんっ」
『謝らないで下さい。私は…白石 蝶は、中也さんのものですから』
「それでも、ごめん…、」
