第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
小さい声なのに、大きく響いた彼の声。
血を飲む前に、バレてしまった…?
『ぁっ…ちゅ……やさ、』
彼は酷く動揺しているようだった。
私を離す気力もないのか、弱った目で私を捉える。
「…何で、俺にっ……ぉいっ!?」
ダメだよ、早く飲んで。
じゃないと私が勇気を出した意味がないじゃない。
『んっ………ふ、っ…』
唾液をためて、それを中也さんの舌に溜まる私の血液…そして彼の唾液と混ぜ合わせようと舌同士をくっつけるものの、どうすれば絡められるのかが分からない。
そして意識のある中也さんの前だと、怖くなる。
拒絶されるんじゃないかという恐怖と、どうすれば深いキスが出来るのかが分からない無力さに、涙が止まらない。
暫く唇をくっつけたままいたら、私の後頭部を中也さんが優しく撫でた。
それと一緒に、また絡め取られる私の舌。
『んん、っ!?…ん、っ』
「……っ、…………は、っ」
慌てて刺激から逃れようとするも、私の頭に添えられた中也さんの手がそれを許さない。
唇を舐め取られ、歯茎を焦れったくなぞられ、舌先だけに絡んできたかと思えば深く深く舌同士を絡め合わせられ。
焦れったくはされるけれども、決して乱暴にはされない、中也さんの優しい舌使いに、私は頭が蕩けてしまうようだった。
『ぁぁっ、ぁ……んぁ、っ……』
何これ、なんでこんなにゾクゾクするの。
身体中が疼いて仕方が無い。
キスって、こんなに……気持ちのいいものだったの?
『ふぁ、っ…!……ん、っ…』
私の唾液を全て舐めとるようにして最後に大きく舌を舐められ、中也さんは唇を離した。
銀色の糸がひかれ、プツリとゆっくり切れる。
そして、私から拭いとった唾液も含めて、口の中にあるものを飲み込んだ。
『ちゅ、やさん……っ、はぁっ、』
肩で息をしながら、力の抜けた私は中也さんの胸に頭を預けてへたり込んだ。
「ったく、無理しやがって…お前、俺に何飲ませたんだよ。何か理由があってこんな事したんだろ」
『んっ…、そ、れはっ……ぁ、っ』
「ん?」
私のうなじに指を滑り込ませて、意地悪する。
私が弱いの、教えたはずなのに。
『血、飲んで欲しかったのっ…』
「血…何でそんなこと」
中也さんの手がピタリと止まる。
私の血の事を説明すれば、中也さんは黙りこくってしまった。
