第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
『白石です、ただいま戻りまし』
「遅い!!」
『た、?』
帰って私を待っていたのは、お説教モードの国木田さん。
「白石、結果的に敦と小娘を連れ帰ることが出来た。そして港町も被害が出なかった、素晴らしい働きだった」
しかし!と息巻く国木田さん。
「心配しないでと言われて心配しないやつがあるか!こんな時間になって帰ってきおって、今までどこで何していた!?」
どうやら彼は、ただ私を心配していただけだったようだ。
国木田さんも本当、堅物なお父さんみたいな性格してるよなあ。
そんなに気になったんなら、電話してこればよかったのに。
『どこって、学校ですけど…』
「ああ!?…そ、そうか、学校!そうだったな、済まない、取り乱した。忘れてくれ」
『は、はあ…あ、中島さんと鏡花ちゃん、どうですか?』
「あの二人なら心配いらん、どうせお前がまた無茶でもしてこっそり守っていたのだろう?」
中島さんはともかく、まあ確かに鏡花ちゃんにはそうしていた。
「寧ろ、壁を使うと体力の消耗が激しいというお前の方が心配だった。次からは壁を使った後は連絡くらい寄越せ」
言って、目を少し逸らす国木田さん。
なんだ、心配だっていう要件だけで電話するのが恥ずかしかったんだ。
『ふふ、ありがとうございます。次からそうしますね』
「笑うな…今日はもう帰るのか?何やらいつとは一風変わった格好をしているが」
『こ、これは学校の子にやられただけでっ!!か、帰りますね!それではまた明日!』
「あ、おい!」
ドアから急いで外に出た。
もうここは横浜だし、今日は色々あって疲れたし、歩いて中也さんの家まで帰ろう。
道中、やはり人の目が気になりはしたが、今から中也さんに見られるんだと思えばなんとか耐えることが出来た。
何度か声をかけられたような気はするが、全速力で人目につかない道に入ってというのを繰り返し、穏便に凌いできてようやく帰宅。
能力があるため無くてもいいと言ったのだが、念のためにと持たされた中也さんの家の合鍵を使って中に入る。
『帰りました〜』
聞こえるように、言ったはずだ。
返事がないということは、まだ本部で仕事中なのだろうか…
しかし、次の瞬間、私は心臓が止まりそうになった。
リビングに置かれたソファの上で、愛しい人がぐったりとした様子で横になっていた。
