第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
直接、聞くですって?
何を?
「中也さんはどんな気持ちで私にキスしたんですかーって聞いてみればいいじゃん。折角今可愛い格好してるんだし、誘惑ついでに聞いちゃえば効果抜群だと思うけど?」
『そ、んなのっ』
怖い、聞いてしまうのが恐ろしい。
何が恐ろしいかって、中也さんとのこの関係が崩れちゃうんじゃないかって思ってしまって。
もし、私が中也さんに好意を寄せている事がバレちゃったら?
私が伝えてない時に、勝手にそう感じ取られてしまったら?
____軽蔑されたり、しない?
「大丈夫だよ。多分中也さんは、蝶ちゃんが思っている以上に蝶ちゃんの事が大好きだから。」
思い出すのは少し前の中也さん。
私、遠慮せずに聞いてみようかな…一人で悩んでるよりも、その方がいいって言ってたもん。
何よりも、私を離さない、離れていかないって約束してくれた。
中也さんとカルマ君の言葉を、信じてみよう。
『う、ん…聞く、聞いてみる。ありがとう、いつも』
「いえいえ、お気になさらず。あ、俺もちょっと聞きたいこと色々出来たから、また明日話してもらってもいい?」
『え、いいけど、今じゃなくて明日?』
「だって、今日は早く中也さんに会いに行きたいんでしょ?」
しらっと当然のように答えられる。
そうか、彼は中也さん症候群の私を一番隣で見ていた人物だった。
『…よく覚えてたね』
「うん、だから俺ももう帰るしさ。早く行って誘惑しちゃえ」
優しく微笑むカルマ君だが、少し違和感を感じた。
しかし、そこは触れない方がいいのかと思って、素直にお言葉に甘える事にする。
『誘惑って、なんだかなあ…気をつけて帰ってね、また明日!』
「また明日」
探偵社までの扉を作って、カルマ君に別れを告げた。
「本当、俺の気もしらないでやってくれるよ。」
蝶が横浜に帰ってから、少年はぽつりと呟いていた。
あんな格好して、なんでわざわざ女子でもなくて俺の後ろに来るかなぁ?
俺が“そんな風には見てないだろうから”?
そんなわけないでしょ、寧ろ一番それをしそうで、バレないようにするの、必死なんだよ。
「全く………妬いちゃうなあ、羨ましいよ中也さん。」
彼女の為でなかったら、相談にのって二人をくっつけるような事絶対にしないのに。
ただの興味本位が大きくなって“こんな形”に育つとは。
