第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
『えっと…駅中デートで手繋いでスイーツの食べ歩きして、一緒に住んでて、お風呂上がりに髪の毛乾かしてもらって…ご飯作ってもらって一緒に寝て、お弁当作って、?みたいな具合ですかね』
「言いたい事が結構あるんだけど」
え、なんだろう、大丈夫な事しかあげてないよね?
恥ずかしかった事とかは流石に言えないけど、何もおかしな事は言ってないはず…
「最早夫婦の域だと思うのは私だけなのかしら」
「大丈夫、私もそう思う」
なんてざわざわと教室がざわめく。
殺せんせーはというと、いつの間にか教室からいなくなっていた。
それにしても、夫婦か…
『一方的に甘やかされてるって感じだしなあ…さっきだって愛玩動物かなにかかって言われたばっかりだし』
「え、さっき?蝶ちゃんもしかして、中原さんに会ってきたの!?」
思わぬところに食いつかれた。
あ、ダメだこれ、言い逃れ出来ないやつだ。
『仕事でちょっと爆発押さえ込んだり粉砕した船片したり…まではよかったんだけど、親しい人が怪我しちゃって、昨日いた森さんが街医者さんだから見てもらいに行ったの』
嘘は言ってない。
『で、その人の処置をして貰ったはいいものの、私もその時バテてたから寝てろって言われて。でも学校戻りたいって言ったら点滴とかする羽目になっちゃったのよ』
困ったように言うと、それでなんで中原さんが?と更に疑問を持つ皆。
『あー…まともに動くには血が足りなくってさ。私に輸血出来る人中也さんしかいないから、中也さんが呼ばれて輸血してきたところなの』
そこまで言うと、少し空気が重たくなった。
「輸血してきたとこって、あんたそれ重症じゃない。本当に戻ってきて大丈夫だったの?」
イリーナ先生まで心配している様子だ。
『ああ、大丈夫ですよ!ちょっと体質の問題で、生まれつき血が足りなくなる事があるってだけなので、怪我とかした訳じゃないですから』
恐らくカルマ君や烏間先生あたりなら察しがもうついているかもしれない。
烏間先生は職員室にいるようだけれど、カルマ君からは鋭い視線を感じるし。
「そう?ならいいけど…あんまり無茶して倒れたら、モテるも何もないんだからね?気を付けなさいよ」
それはさっき痛いほど身をもって味わってきた。
『はい』
私が血を使いすぎて、中也さんが倒れちゃってもいけないしね。