第17章 0
「俺はこんな奴だからハッキリ言うが…親の立場になるもんが勝手に産んだ子供に迷惑だなんて心の底から思ってりゃ、そんな奴に無駄な期待をすんのはやめろ…親がどんな時でも自分の味方で居続けてくれる奴だなんて考えはまず捨てろ」
「!…それは……確かに頷けるかも、しれないです」
「だが、感情が入りすぎて一人で暴走しちまうような奴だっている。ちゃんと子供のことを見れてねえだけって事もある…さっきはああ言ったが、勘違いをさせたままズルズルその関係を引きずんのは一番愚かな状態だぞ」
中也は淡々と話を続ける。
言っていることは確かに頷けるものだけれど、とても中学生にするような内容の話じゃあない。
けれど、人間というのはこういうものだ。
私や中也のような仕事をしていれば、嫌というほどそういう人間のエゴや本性を見てしまう。
「それだけは絶対にしちゃいけねえ、はっきり言って時間の無駄だ……まずはちゃんと意思表示をしろ。そこは相手も人間なんだ、わざわざ汲み取っちゃくれねえぞ」
「…意思表示……」
「そうだ。そんで、意見が衝突して喧嘩になっても絶対に譲りたくねえところは譲っちゃいけねえ。相手が納得するよう考えて自分が動けばいい…が、もしも相手が自分の親でなく、ただの一人の人間になっちまった場合は__」
迷わず他にちゃんと助けを求めろ
中也の真剣な声に、目に、再び教室が静かになった。
「他…って……」
「誰でもいい、この教室には特別心強い味方も多いだろ。あの担任でも、烏間先生でも…ダチでも、なんなら俺なんかでもいい。素人相手に力でねじ伏せはしねえから安心しろ」
「あ、あはは………すごいですね中原さん。なんていうか、全部見透かされてるみたいに…ハッキリ言われた事、僕が薄々感じてた事をそのまま言葉にしてもらったような感覚です。今までちゃんと分かってなかったのが少し整理できました」
「別に凄いことはねえよ………ただ、俺も似たような奴を知ってるだけだ。…蝶、話がある。外に出るから…何言われっかは分かってんな?」
中也の声にビク、と反応する体。
嘘、見抜かれた?
そんな事ない、だって下手なことを匂わせないように注意してたはず。
それが、こんなにあっさり見破られる…?
「……流石に何年も一緒にいれば分かる、お前の考えてることくらい。怒らねえから、こっち来い」
『!!…ん…』